2011年10月10日月曜日

CHRIS CLARK 「Empty The Bones Of You」


時系列があちたりこちたりして申し訳ない。2003年作の二枚目。
本作でこの名義はおしまい。以後、シンプルにファミリーネームのみとなる。

まだ二作目だし、以後は傑作揃いの人だし、どうせコレは〝覚醒以前の佳作〟止まりなんでしょうって?
ばか言っちゃいけない。ココからCLARK初めしても、彼に関する全ての音源を買い揃えたくなるような秀作だ。
ただし! 良く言われる、そこかしこから感じなくもないAPHEX TWIN的な空気はまあ……否定しない。だが、そこまで目くじら立ててAPHEXチャイルドAPHEXチャイルド騒ぐほど似ている訳ではない。
巧くさまざまなエッセンスを希釈・攪拌して『影響の一部です』とさらり言ってのけるスマートさが、このアルバムに漂っている。

今や100%新しい音楽など創造し得ない状況下で、コレが出来るか出来ないかで才能の嵩が大きく変わる、と断言して良い。
才能のない奴がシーンで確固たる地位を得るには、まずお手本をまるっと剽窃。後は上手いコト時流に乗った頃に『俺がオリジナルだ!』と喚けば良い。そのやり口が鮮やかならば、どちらの意味でも〝換骨奪胎〟出来る。
〝商売人〟の才能はありそうだね。

閑話休題。
本作は(インタヴューではいつもいい加減なコトばかりほざいているのに)生真面目に創り込まれた、オール打ち込みのエレクトロニカである。やんちゃな音色使いは、この時点でも飼い慣らされている状態。どうやら天性の音感が成せる業らしい。
また、二枚目ということもあって、演りたいコトをあれもこれも詰め込んだ印象もある。でも、雑多な雰囲気がまるでないのは彼の才能――ではなく、ニカ人種特有の一所に収まりたくない〝根なし草思考〟のお陰だろう。
〝何を演るか分からない奴〟と聴き手にレッテルを貼らせとけば、おおよその冒険は許される空気になる。それにどっかりと胡坐をかいて夕餉を所望してお替りまで頼めるのは、さまざまな音楽ジャンルを見渡してもニカクリエイターくらいなものだ。

もちろん布石があっての伏線だ。
本作は出来からして、CLARKの今後の視界を広げられた贅沢な布石である。

M-01 Indigo Optimus
M-02 Holiday As Brutality
M-03 Empty The Bones Of You
M-04 Early Moss
M-05 Tyre
M-06 Tycan
M-07 Wolf
M-08 Slow Spines
M-09 Umbilical Hut
M-10 Farewell Track
M-11 The Sun Too Slow
M-12 Gavel: (Obliterated)
M-13 Gob Coitus
M-14 Betty
M-15 Alaska (1998 Tiny Person) (Bonus Track For Japan)


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