2012年6月8日金曜日

ADVENTURE TIME 「Dreams Of Water Themes」


DAEDELUSことアルフレッド・W・ロバーツ、FROSTYことマーク・マクニールによる米製ブレイクビーツデュオ、唯一のアルバム。2003年作。
今をときめくFLYING LOTUSを輩出した、カリフォルニアのPlug Researchより。

暗い訳ではないが、湿った音像。声ネタ頻発。フィルターを掛けて音質を籠もらせた、アブストラクトど真ん中の音世界だ。
トラック自体は全体的にジャジーで落ち着いた雰囲気。不真面目にならない程度、飄々とユーモアを小さじ一杯。
そこへサンプリングでトライバル風味を織り込んだり、M-03のようにラッパーを迎えてベース主導の黒いグルーヴを醸し出したり、M-08のようにポエトリーディングに女性コーラスを被せてみたりと、手段を選ばず引き出しの多さを見せ付ける。
散漫かと思えば、湿った音像で揃えているため、統一感がある。
こやつらめ、なかなかやりおる。

さて、そこで我々日本人の感性をぐっと引き付けて離さないトラックが、M-11。
どこから拾って来たのか、かくれんぼを始める日本の幼児たちの裏で豆腐屋がラッパを吹いて客寄せする――そんな昭和の風景をイントロに、真っ向からオリエンタル色皆無のジャズブレイクビーツを展開する心意気はどうだ。
あざとい奴なら、そんな導入部から琴やら尺八やらを和音階で用いて『ほれ和風でござい』とドヤ顔するのに。
こんなさらっとハイセンスを見せる点が、筆者の琴線にいたく触れるのだ。

私情が入り込みそうなので総括すれば、ジャジーなアブストラクトってコトでNinja Tuneっぽい音。
その感想は確かで、相方のDAEDELUSはこの後、Ninjaから単独音源をリリースするようになる。なら、このユニットでもNinjaの一員になってもらいたいな。

M-01 The Age Of Aquariums
M-02 My Musical Friend
M-03 Whetting Whistles
M-04 Water Signs
M-05 Eel Sand Witch
M-06 General Midi Vs. Rusty 4eyes
M-07 Kids Say The Darndest Things
M-08 Sent From Sandy Shores
M-09 Girl Of The Well
M-10 Water Plop
M-11 Kappabashi
M-12 Hypnotized Arms
M-13 (Rusty Anchors Wrestling Waves)


2012年6月6日水曜日

TEETH OF LIONS RULE THE DIVINE 「Rampton」


ヴォーカルならぬ〝Hexing Pariah〟のALF ANTISOCIAL、ギターならぬ〝Flagellation In Beautiful Sixes〟のDRONE SLUT、ベースならぬ〝Of The Night Goat〟のMYSTIK KLIFF MACABRE、ドラムならぬ〝Avalanche〟のCRIPPLED BLACK PHOENIXの四人からなる英米スラッジコアプロジェクト、唯一の音源。2002年作品。
その正体は何とまあ、NAPALM DEATH→CATHEDRALのリー・ドリアン、SUNN O)))の二人、IRON MONKEY→ELECTRIC WIZARD→いろいろのジャスティン・グリーヴスによるスーパーバンドだ。
今回は珍しく、アートワークにドローン・スラットステファン・オマリーが噛んでいない。

それにしても……くくっ、この変名やらパート呼称って……くすくすっ、厨二病現在進行形の……あははっ、今となっては過去恥部ー、って感じじゃないですかー!
グリーヴスに至っては、後にこの変名を自らのプロジェクトに冠するぐらい気に入っちゃってるし。
つかバンド名、引用元まんまだよね……。

とまあいろいろ枕に顔を埋めて足をばたばたさせたくなる要素満載のこのアルバムだが、内容は相当えげつない。
何せ一曲目から29分25秒の大曲。
音がやけに籠もっているのはわざと。このジャンル特有の〝禍々しい生々しさ〟演出のためと割り切って欲しい。と言うか、プロデューサーのビリー・アンダーソンが絡むと決まってこんな音像。
グリーヴスのドラムがイントロとなり不吉な予兆。そこへ徐々に漆黒フィードバックで塗り込めようとするSUNN O)))の二人。その暴虐に抗うべくグリーヴスも躍起になるも、健闘空しく取り込まれる。刻印のようなヘヴィリフの手先となる。やがて……こんなふうに音の表をやけに強調する〝稀代の音痴〟ドリアンの咆哮の斧が振り下ろされた瞬間、好事家納得の音世界が聴き手皆に提示される。
具体的に書けば『SUNN O)))のあの音像がバカデカいビートの上で再現され、そこへ誰も真似しない唯一無二の歌声が被さる』。
個性と自我と天然のぶつかり合いだが、コレが意外と齟齬を起こさず、奇跡的な配分で聴き手の鼓膜を圧殺すべく共闘しに来る。
かと思えばM-03はドリアンのCATHEDRAL色全開のトラック。オルガンを巧く使ってドゥーミーに17分53秒を料理している。
こうなると当ブログで扱うには重過ぎる嫌いはある。ただ、全体的に重苦しさ一辺倒で押し切るだけとは限らない工夫もぽつぽつ、さり気なく仕込まれているので、耐性さえつけば十分聴き応えを感じていただける創りだ。

熱量を醸し出しやすい音楽だからと、上澄みだけ掬って生半可に鳴らすポーザーも多いこの界隈。こんな殺る気むんむんな音を叩き付けて来る連中に向けて〝厨二病〟と揶揄するのは些か失礼にあたるのかも知れない。
依然シーンに君臨し続ける猛者の共同体ならではの本気が、ココにある。

M-01 He Who Accepts All That Is Offered (Feel Bad Hit Of The Winter)
M-02 New Pants And Shirt
M-03 The Smiler

M-02はシカゴの老舗インディーTouch And Goに所属したKILLDOZERのカヴァー。原曲を踏襲しつつも、ジャンク臭を消して如何にもな出来に仕上げている。
また本作は、ミスティク・クリフ・マカブルグレッグ・アンダーソンのSouthern Lord同様、自己レーベルを所有するALF・アンチソーシャルドリアンのRise Above盤もあるよ!


2012年6月4日月曜日

Mr.SCRUFF 「Ninja Tuna」


え、鮪(Tuna)っ? 鯨かと思った……。
相変わらず自筆のヘタウマ絵が可愛い四枚目。2008年作。自らNinja Tune傘下で興したNinja Tunaより。

前作と何が変わったかは一聴瞭然。メジャー感が増した。
音色のちょっとした安っぽさも魅力だった彼が、しっかりとした音色で、きっちり創ってきた印象を受ける。
また、最近のNinjaの兆候である〝大々的に生音をサンプリングしてトラックを組む〟手法も、作品に更なるダイナミズムと生々しさを与えている。
良い環境にて制作することで、表現の選択肢が広まる。自ら『自分に厳しい』と語るアンディ・カーシーaka Mr.SCRUFF。その妥協を許さぬ姿勢は、このような制約を取り払った状態の方が上手く作用するようだ。
使いこなせなかったあいつとは大違いだね(ニッコリ。

基本はほのかにファニーなブレイクビーツ。それをM-02のようなジャズ色で彩るか、M-03のようにファンクを絡めてジャズファンクで行くか、M-05やM-07のようなブレイクビーツにエレクトロ色を噛ませてみるか、M-08のように四つ打ちエレクトロをぶちかますかはカーシーの匙加減次第。
驚いたのがM-06。UK客演番長・ROOTS MANUVA参加曲だが、まんまあのマルチラッパーが組みそうなトラック。向こうがどこまで口を出してきたかは分からないが、クレジットの〝Programming〟はカーシーのみ。彼の適応能力と言うか、スキルの高さを如実に表すトラックだと思う。

革新的な作品ではないが、臆せず自分の許す範囲で何歩も前進して見せた、手堅く高品質な出来。カーシーの人柄も偲ばれる。

M-01 Test The Sound
M-02 Music Takes Me Up
M-03 Donkey Ride
M-04 Hairy Bumpercress
M-05 Whiplash
M-06 Nice Up The Function
M-07 Bang The Floor
M-08 Get On Down
M-09 Hold On
M-10 Give Up To Get
M-11 Kalimba
M-12 This Way
M-13 Stockport Carnival


2012年6月2日土曜日

TRANS AM 「Red Line」


メリーランド州出身、Thrill Jockey Recordsきっての曲者トリオ、2000年作の五枚目。

どっかでぼそっと彼らの名を挙げたが、はっきり言ってマトモなバンドではない。
へんてこな音色(ねいろ)を奏でるシンセや、人を食ったようなヴォコーダー声でテクノちっくな雰囲気を醸し出していたかと思えば、突如としてドラムが鋭い決めのビートを叩き込んで来る。
かと思えば、M-07やM-20のような70年代ハードロック風のダイナミックな曲を平然と演ってくるこのセンスにもあきれ――

いや、痛快! と思わないと付いていけないよ、我々音の享受者は。

要は「何でもアリ」なバンドな訳で。ひっそりぽそぽそ音を置いていくような曲もあれば、前述のようにハードロッキンな曲もある。それらを平然とアルバム内に同居させて聴き手を煙に巻く――いや、開き直っている。
「コレが俺たちの好きな音だから。俺たちの音が好きなお前らも当然、好きだろ?」と言わんばかりの俺サマ節ゴリ押しぶり。
この手のバンドは興味を持つか持たないかの問題で、一聴して「何が演りたいの? 意味分かんね!」と切り捨てる方に、彼らの俺サマ節は全く効果がない。「何か面白ーい!」とわくわくどきどきしてくれる方だけに通用する〝殿様商売〟をやっているのだ。
おっと、こんな趣深い音を上の一文で「偉っそうなバンドだ」と曲解されては敵わない。もっと入り込みやすい窓口の一言を受け売りで付け加えねばならない。

こんなあほバンドを真面目に聴くだけなんてもったいない!

彼らの演っているコトなんてネタなのさ。
HPからして毎回「お前らあほやろ」と苦笑させる写真をトップに持ってくるようなバンドである。聴き手はアーティストが放ってきた音楽を真正面から受け止めて云々、みたいな高尚な聴き方、彼らにネタにされるだけだよ?

M-01 Let's Take The Fresh Step Together
M-02 I Want It All
M-03 Casual Friday
M-04 Polizei (Zu Spat)
M-05 Village In Bubbles
M-06 For Now And Forever
M-07 Play In The Summer
M-08 Where Do You Want To Fuck Today?
M-09 Don't Bundle Me
M-10 Mr. Simmons
M-11 Diabolical Cracker
M-12 I'm Coming Down
M-13 The Dark Gift
M-14 Air And Space
M-15 Talk You All Tight
M-16 Lunar Landing
M-17 Bad Cat
M-18 Slow Response
M-19 Getting Very Nervous
M-20 Ragged Agenda
M-21 Shady Groove