2015年6月28日日曜日

LAL 「Warm Belly High Power」


カナダはトロント出身の女性ヴォーカル+男性トラックメイカーデュオ、2004年作・二枚目。

音世界をド直球に説明すると、カナダ産のブリストル系アブストラクト――そうそう、トリップホップ(笑)。レゲエやダブを血肉とした、薄暗いブレイクビーツ。
いや、そこで『なーんだ、典型的トリップホップ編成の没個性出遅れ組(デビューは2000年)かー』と流してしまうのは、ちと了見が狭い。そもそも今までこのブログで紹介してきた男女アブストラクト系デュオはどれもこれも曲者ばかりだったではないか。
毎度書くが、良い音をくださる人々を型にはめるのは絶対に良くない。

アルバムの全体像はシンガーのレジーナ・カジーの声質から、メロウでアンニュイでほんのりレゲエっぽい。そこへ、彼女の弾くハーモニウム(リードオルガン)などの鍵盤系や、トラックの根幹を成すぶっといベース、ギターや鉄琴などのオーソドックスな楽器、タブラやヴィーナやサーランギーといった中東系民族楽器を生音色として乗せ、トラックメイカーのニコラス・マーリーが打ち込み音色を取り混ぜて統括する。中でも中東楽器はトラック内で扱いが良く、ココら辺がLALの個性を担っているようだ。
さて、下の曲目をご覧の通り、本作は四季が織り込まれている。前半の秋冬はしっとり切ない空気を漂わせ、後半の春夏はアンニュイな中にも躍動感を感じる。ボトムにBPM早めの四つ打ちを敷いたトラックもあるからか。夏編でメロウなトラックを演られても、潮風が顔を凪いでいるようにしか聴こえないのだから巧く並べたモンである。

で、ここからが彼らの本領。ヘッドフォンで聴けば分かるのだが、音数が異常に多い。しかも彼らの音楽性がダブの影響下にあるため、それらが平気であちらこちらに散る。
具体的に書けば、表現力に長けた一廉のシンガーであるカジーの声すら一パーツと解釈され、オーヴァーダブにより主音である歌メロを取り巻いて、副音としてあちこちで瞬き続ける。トラックの底辺を支えるビートをサビだけ右耳の外れに追いやりつつ、役目だけは果たさせるといった苛烈なトラック構成も平然と執る。
無論、ダブの素養があるのだから、音数に埋もれてトラックをごちゃつかせる訳がない。必要ない時はばっさり切り落とし、後々必要なら伏線として音量を絞ってさりげなく置き、ここぞの場面で効果的に聴かせる。
あえて大げさに言い切らせてもらうが、ここまで全使用音色を組織立たせるトラックメイカーもそうそう居ない。

あえて難点を挙げれば、フェイドアウトが雑なくらい。
もしかしてこの界隈でこの男女デュオ編成が多いのも、この方面の音を出したいからこの編成にする訳ではなく、優れた者たちだからこそこの編成を敷くのではなかろうか――なんて考えてしまうくらい彼らも出来人。
筆者はこの編成での外れ音源を知りたい。

Fall
M-01 Orange
M-02 Brown Eyed Warrior
M-03 Forget To Say
Winter
M-04 Pale
M-05 Creep
M-06 Saturn
Spring
M-07 Raindrops
M-08 Faithful
Summer
M-09 Musty City
M-10 Shallow Water
M-11 Dancing The Same
M-12 Invincible
(Bonus)
M-13 B.E.W. Epilogue...Think...Bloodlines
(Bonus Track For Japan)
M-14 Dancing The Same (Nu Era vs Somatik Remix)
M-15 Brown Eyed Warrior (Moonstarr remix)


2015年5月20日水曜日

GROUPER 「Dragging A Dead Deer Up A Hill」


またココか! オレゴン州ポートランドの宅録おねいさん:リズ・ハリスのソロユニット、2008年発表の四枚目。
オリジナルリリースはバーミンガムのTypeだが、2013年にシカゴのKrankyよりリイシューされた。どっちのレーベルも妖し過ぎる……。

音楽性を端的に表すと、アシッドフォーク。
おそらくかなりヴィンテージな(≒古ぼけた)機材で録っているであろう、デモテープさながらな音質。ダビーというよりも、全体的にぼやけた音像。
軸はリズおねいさんの歌――よりも、おねいさんが奏でるアコギとかエレギとかエレピ。真中中央にどっかと腰を下ろしている。そのやや上から、慎ましげにおねいさんの歌。声質から淡白一辺倒かと思いきや、儚げだったり、清らかだったり、陰鬱だったり、投げやりだったり、凛としていたりと、なかなかヴァラエティに富んでいる。その歌声をオーヴァーダブでハモらせたりもする。
ただし、ちょいちょいグリッチや裏に回ったエレピなどの副音に埋もれてなし崩し化する。
こんなロウさはアルバム全体にも波及。軽度な編集を施しているにもかかわらず、トラックの頭と終いでさーーーっと存在をあらわにするヒスノイズは放置。ギター弦が指と運指でこすれるきゅっという音、ピックがピックアップにばちっと当たる音すら拾う。音割れしない程度に、副音どころか主音すらハウリングを起こしてたりもする。

臨場感を出したいのか、生々しさを出したいのか。
いや、彼女の音による主張は一貫している。
音を意のままに操っているのではない。全てを受け入れている。
あなたはすきにしてくれてかまわない。だから、ありのままのわたしをみて。

何となくメンヘラなおねいさん(誤解なきよう記すが、彼女の肉声は強い意志を感じさせる自立した女性のそれだ)によるセルフヌード音源集(モノクロ)。
ただ、音像のあまりのアレさから素人ヌードのような雰囲気もあるが、あくまで彼女はプロ。自らのヴィジョンを余さず映し込むための技巧、と好意的に捉えることも可能。
まんまんくぱりんこしたり、ちんちんずぼずぼしたりするだけがヌードじゃないってことだね。

M-01 Disengaged
M-02 Heavy Water/I'd Rather Be Sleeping
M-03 Stuck
M-04 When We Fall
M-05 Traveling Through A Sea
M-06 Fishing Bird (Empty Gutted In The Evening Breeze)
M-07 Invisible
M-08 I'm Dragging A Dead Deer Up A Hill
M-09 A Cover Over
M-10 Wind And Snow
M-11 Tidal Wave
M-12 We've All Gone To Sleep


2015年5月6日水曜日

CLARK 「Clark」


Warpの二枚舌男、クリストファー・ステファン・クラークもとうとう七枚目。2014年作。
アートワークはリミックス盤に引き続き、アルマ・ヘイザー

ここにきて、ようやくセルフタイトルだ。
どうせコイツのことだからアルバムタイトルなんてどうでも良いみたいなダダイズムというか当ブログらしい表現でニカ人種っぽい思想で付けたんだろうと踏んだら、何と総決算的な内容だったので驚いた、初聴の感想から。
彼にしては着地点があまりに真っ当。何か悪いモノでも食べたのかと思った。

臓腑に響く音圧と、おそらくチューバであろう低音金管楽器が唸りを上げるイントロM-01で幕を開けたかと思えば、以降ボトムはおよそ四つ打ち。四枚目に回帰したかのようなシンプルさでキックを四つ並べる。
だが四枚目のようなぶんぶんすっ飛ばす破壊的な面は見られない。むしろシンプルなビートに繊細で浮遊感のある上モノを絡める方法論でアルバムをほぼまとめている――つまり上モノは前作っぽさを残して。前述の低音金管楽器やピアノ、鉄琴などの生音色をちょぼちょぼ用いる点も、その思いを助長させる。お蔭で、作中でアクセントを取るかの如くぽつぽつと割り込むイキの良さそうなトラックですら、どこか落ち着き払って聴こえる。締めのM-13も前作同様、穏やかでちょっぴり不穏なアンビエントトラックだ。
そこら辺で老練した彼の総決算っぽさが垣間見られなくもないが、音響的には根の深い構造が組み込まれているのを見過ごす訳にはいかない。

本作は近年のクラブ系の流行に即し、ダビーだ。
ダビーといっても、音色の加減算と拡大縮小で構築する古き良きダブメソッドを用いて組まれている訳ではない。幽玄な背景音色を垂れ込めたり、一部音色を籠らせたりノイズを塗したりして遠巻きに追いやりつつ、出来た広いスペースの真ん中で主音を奏でつつ、副音をあちらこちらで踊らせる、詐術のようなダブステップ以降の空間処理法だ。現にM-07はCLARK流ダブステップと称して憚らないトラックだ。
この現代的なダビーさが本作のキモだ。前作でもそれっぽさはあったが、世相と巧みに折り合いをつけて自分なりに深化させてみせたのはコレが初めてなのだから、結局は何をしでかすか分からない彼なりに奇を衒っていることとなる。
そうか、そう来たか。

コレを成長と見るか、迎合と見るか、老練と見るかは人それぞれ。
ただ前作でちょっとだけ窺わせた借り物臭さを、間に挟んだミニで修正し、本作できっちり払拭している点を指して、聴き手はどう感じるのだろうか。
筆者的聴きどころは、あちらこちらで瞬く電子音色を歪ませたピアノ音色が切り裂くM-03から、風の強い草原で遠巻きに鳴らされる流麗な長尺ピアノループを軸としたM-04へ進み、やがて曇天となり雷を呼び、力強い四つ打ちキックを取り巻くようにエコーがかった攻撃的な音色が雪崩れ込んでくるM-05の流れ。

M-01 Ship Is Flooding
M-02 Winter Linn
M-03 Unfurla
M-04 Strength Through Fragility
M-05 Sodium Trimmers
M-06 Banjo
M-07 Snowbird
M-08 The Grit In The Pearl
M-09 Beacon
M-10 Petroleum Tinged
M-11 Silvered Iris
M-12 There's A Distance In You
M-13 Everlane
M-14 Treat (Bonus Track For Japan)

M-14のボートラは、BOCみたいなうねうねした古臭いシンセ使いのノンビートトラック。ぶっちゃけ単調だわ、大した余韻もなくフェイドアウトするわで、特に必要は。


2015年5月4日月曜日

GRAILS 「Black Tar Prophecies Vol's 4,5&6」


アレックス・ジョン・ホール(本作は主にシンセ)と、かのカリフォルニアのスピリチュアルデュオ・OMの二代目ドラマー:エミール・エイモス(主にドラム)が二人で統べる、オレゴン州はポートランド出身の四人組インストバンド、2013年発表の編集盤。
レーベルは、美味しい音を目ざとく掻い摘むインディーの配給王:Temporary Residence Limited、レペゼンブルックリン。

編集盤なのでまずは資料的なことから。
タイトル通り、本作は「Black Tar Prophecies」シリーズを総浚いしたモノ。なお「1,2&3」は2006年にImportant Recordsより発表されている。
曲の内訳だが、件のImportantからのシリーズ4弾目で単独EP(2010年作)がM-01、02、05、08、09。Kemado Recordsからの5弾目でフィンランドのPHARAOH OVERLORDとのスプリットLP(2012年作)がM-04、06、07、11。6弾目に当たる残りのM-03、10、12は未発表曲だ。

のっけからもわ~っと煙が立ち込めるダビーなイントロ。何だか妖/怪しさ満点。
曲調をざっくり説明すると、70年代の空気漂うサイケデリックな音世界。ただし、サイケだからと安易にフィードバックギターへ逃げず、古めかしい音色を有機的なフレーズで多彩な切り口からあちらこちらで鳴らすことにより、独特のレトロでトリッピーな空気感を醸し出す、一筋縄ではいかない創りだ。それはホールとエイモスがプロデューサーとミキサーを兼ね、双方の担当楽器にサンプラーを記す点にも表れている。
――と書くと本作はせせこましくて作り物臭いのだろうな、と思われるかも知れないが、それは断じて否。
音色の多さで聴き手がうるさく感じないよう、バンドなのだからそこに器楽的なアンサンブルが感じられるよう、数々の生音から精製した副音をダブの要領で頻繁に抜き差しし、かつ生々しい音質でテクスチャすることにより、その難事を巧く解決している。もわ~っとしたダビーな空間処理によるフィルターの魔法がそれを可能としたのは今更論を俟たない。

ただ彼らの持ち味の一つである、じわじわとテンションを高め、大団円までトランスする曲単位でのドラマチックさが減退しているような気がしなくもない。
そこはほら、アルバムの方向性よ。アルバム一枚を通して音だけで映画のような情景を描き出す――前作で演ってる、その流れ。
比較的短めの曲を並べてゆったりと満ち引きを繰り返す中、あまりに切ないピアノのフレーズを柱に、アコギやエレギやハープシコードやメロトロンやフルートやハミングを上記の手法で継ぎ足し、空間を把握して折り重ね、聴き手の涙腺を崩壊させる、たった三分弱のM-09で本作は最大のクライマックスを迎える。
ほら、貴方の脳内で、愛し合う男と女の望まれぬ別離シーンに被さる、幸せだった頃のモノローグが走馬灯のように――
……あれ? 本作って編集盤じゃなかった?
いや、むしろこうして既出の音源のプレイ順番をバラしても、一枚のアルバムというドラマが再構築出来てしまう点が、バンドの強固なコンセプトの裏返しと言えまいか。

まずはコレ。彼らの音の深淵が十二分に垣間見られる一枚の重厚な物語。

M-01 I Want A New Drug
M-02 Self-Hypnosis
M-03 Invitation To Ruin
M-04 Wake Up Drill II
M-05 Up All Night
M-06 Pale Purple Blues
M-07 Chariots
M-08 New Drug II
M-09 A Mansion Has Many Rooms
M-10 Corridors Of Power III
M-11 Ice Station Zebra
M-12 Penalty Box


2014年10月22日水曜日

SHRINEBUILDER 「Shrinebuilder」


リッケンバッカーを抱えて習わぬ経を詠む男:アル・シスネロス(SLEEPOM)と、不撓不屈のドゥームメタルアイコン:スコット〝ワイノ〟ヴァインリッヒ(THE OBSESSEDSAINT VITUS)を中心に、NEUROSISの濁声咆哮担当:スコット・ケリー、意外と便利屋なヴェテラン太鼓叩き:デイル・クローヴァー(THE MELVINS)とまあ、その筋の強者が雁首を揃えたスーパーバンドによる2009年作。
レーベルはNEUROSISのトコ厨二魂擽るイカしたアートワークはNEUROSIS(後にギターで参加のRED SPAROWES共々脱退)のヴィジュアル担当:ジョシュ・グレアム。音響技師はトシ・カサイ

いずれも強烈な個性を放つ、ひとかどの者どもを集めたアルバムにしては非常に整っている、というのが第一印象。誤解を生みそうな表現だが、あえて。
ではどうやってこのどいつもこいつもエゴの強そうな連中を束ねて、一枚のアルバムに整えられたのか? 正直なところ、ワイノはこの面子の中で浮いてはいまいか?
キーワードは〝調和〟。

ジャケをご覧の通り、基本は呪術的でそこはかとなく暗く、ずるっとミッドテンポを堅持するヘヴィ音楽。その一方で、OMやNEUROSIS、THE MELVINSで聴かれるようなインプロを発展させたような酩酊パートも各曲ごとに用意されている。ゆえに曲は概ね七・八分と長め。また、ワイノ、ケリー、シスネロスの三声体制(蛇足ながらクローヴァーもメインヴォーカルを執れる人)だが、ヴォーカル主導の作品ではない。
こんな、面子からして容易に察せられる音世界。
そこへ、更に分かりやすく各メンバーの個性が意図的に反映されているところがキモ。
例えばワイノらしい朗々とした歌声に加えて、彼が掻き鳴らす明快なドゥームメタルリフとか。ケリーのあの喉を酷使しているとしか思えない濁った怒鳴り声とか。シスネロスがOMで流す読経ヴォーカルに、まろやかなベースラインとか。あと明らかに彼が部分的に持ち込んだ、密教ちっくな音世界とか。クローヴァーらしいタンタンと響くスネアの音とか(彼加入前に叩いていた元SLEEP、OMのクリス・ハキアスっぽいオフロードなビート感も、クローヴァーのプレイで再現されている)。
これらファンならピンと来る、個性派ならではの特徴をあえてパーツとして捉え、楽曲の雰囲気に添って当てはめる――こうすることでアルバムに調和が齎され、スーパーバンドの威厳も保たれるという寸法だ。

ここで意地悪く穿った見方をすれば『スリリングさに欠ける』のかも知れない。もっと個性と個性が激突する、ひりひりした作品が聴きたい方も居るかも知れない。
だがそんなこと、それぞれのメインバンドで演れば良いことだろう、と。
筆者からすれば、各曲に籠められた酩酊パートの心地良さで巧くカヴァー出来ているので何ら問題ない、と。あと、超個性ならではの〝音色〟が大ネタフレーズとして楽しめてにやにや出来る、とも。
この老練したメンバーによる理詰め感、ハードコアというよりもポストロックに近い――と強引な極論を吐き、このブログらしく締めさせていただこうか。

なおこのスーパーバンド、ワイノ曰く『シスネロスがイカレちまったので、今後何も起こらないと思うよ』とのこと。
ヘヴィ音楽から離れてダブに傾倒するシスネロスへの皮肉かと思われる。

M-01 Solar Benediction
M-02 Pyramid Of The Moon
M-03 Blind For All To See
M-04 The Architect
M-05 Science Of Anger


2014年10月20日月曜日

THE GENTLEMAN LOSERS 「Dustland」


フィンランド出身、サムとヴィルのクウッカ兄弟による2009年作の二枚目。

本作を抽象的な言葉で表せば〝ぜんまい仕掛けのフォーク〟か。個人的にはこういうコトをあまり書きたくないのだが、近似値の高い具体的な比較対象を挙げるならば、BIBIO(リミックスもしているし)エモメガネの別ユニット:GOLDMUNDになる。
つまり、数多くの生音を縒り合わせ、良く言えばヴィンテージな機材でモノラル録りする、セピア色の似合う哀愁の追憶フォーク。北欧らしい寒々しさを添えて。
もちろん、演奏も録音もジャケデザインもクウッカ兄弟。DIYの極み。
ああそう言えば〝フォークトロニカ〟なんて言葉、あったよね。

そんな彼らのキモは音色の多さ=演奏する楽器の数にあるのだが、これがまた巧いトコロを突いてくる。
以下、各々の担当楽器。()内はメーカー、機種。

サム:ローズピアノ(フェンダー)、ピアノ、ハープシコード、アナログシンセ(ヤマハ CS-15D、SY-1)、メロトロン、オルガン、キーボード(ローガン・ストリングメロディII、Siel Orchestra)、サンプラー(AkaiS5000)、リズムマシーン(エーストーン・リズムエース)、ベース(ヘフナー、ギブソン)、弓弾きアコギ、ログドラム(太鼓系じゃないよ)、グロッケンシュピール、ヴィブラフォン。
ヴィル:ギター(ギブソン・レスポール、フェンダー・ストラトキャスター、テレキャスター)、ラップスティールギター(フェンダー)、六弦/十二弦アコギ、クラシックギター(ラミレス)、E-ボウ、ウクレレ、ベース(スクワイア)、ドラム(スリンガーランド)

どうやらサムは鍵盤系担当、ヴィルは弦楽器系担当らしい。またサムは写真とデザインを、ヴィルは録音を専任している。またケイサ・ルオツァライネンなる女性がヴァイオリンやヴィオラ、ワイングラスでゲスト参加している。

さて、ここで本題。
ご覧の通り、彼らはポピュラー音楽としては非常にオーソドックスな楽器ばかりを用いているのが分かる。普遍的たれと考えているのだろうか。
いや、重要なのは、更にその中でもよりオーソドックスな楽器に関して使用機材を明確にしている点であろう。
同じコードを同じ楽器で鳴らすにしても、ストラトとレスポールでは聴こえてくる音がまるで違う。更に掘り下げれば、同じフェンダーのベースでも純性モデルと廉価版では大いに音色は異なるはずだ。
逆に木・鉄琴系やアンプラグドの鍵盤系など、象徴的かつエフェクターやアンプが介在しない楽器について、機種まで明記する必要などない。
別に所有リストを晒して自慢している訳ではない。ココに彼らの音へのこだわりと、音色に対する考え方が表れていると思う。

何々に似てる似てないなんてどうでもいい。それぞれ創っている者が違うのだから、そこに提示された作家性を理解する必要が、聴き手にはある。

M-01 Honey Bunch
M-02 Silver Water Ripples
M-03 The Echoing Green
M-04 Ballad Of Sparrow Young
M-05 Bonetown Boys
M-06 Oblivion's Tide
M-07 Lullaby Of Dustland
M-08 Midnight Of The Garden Trees
M-09 Farandole
M-10 Spider Lily
M-11 Wind In Black Trees
M-12 Pebble Beach


2014年10月2日木曜日

MASSIVE ATTACK v MAD PROFESSOR 「No Protection」


二枚目(1994年作)を、あへあへダブおじ(い)さん:マッド・プロフェッサーがダブヴァージョン(リミックス)化! ありそでなかったこの一枚。
翌、1995年発表。

ぐう(の音も出ないほど)ダブ。おしまい。
いやいや待て待て!
もこもこ内に籠っているようで抜けの良い音像。過度に掛けるフィルター、エコー、ディレイ。気まぐれで定める一部音色への偏愛。流動的な鳴らす位置。大胆な音色の抜き差し。
これぞ、まごうことなきダブである。
ただ、元よりマッシヴはそんなダブを血肉としているユニット。これ以上ダブダブしくする必要があるのだろうか……? なんて疑問もあろうが、ここまで徹底してダブのメソッドに当てはめたモノを聴かされれば、聴き手はぐうの音も出ないはず。
本編では二曲ずつ宛がわれしトレイシー・ソーンのしなやかな、ニコレットの可愛い歌声も、クレイグ・アームストロングの感傷的なピアノも、ぶっつぶつのぎったぎた斬り。
この辺の主音への苛烈な扱い、正しくダブ。
なお男声――トリッキーとホレス・アンディが歌っているトラックは一つずつしか選ばれていない上、ヴォーカル音色を一切用いず、文字通り〝抜いて〟いるので注意。
これもダブ特有の音色偏愛の一端であろうか。

あと、クラブ系さんサイドからダブを眺めているだけの筆者からすれば、ダブと言えば(涼しげな音像と)低音の過剰な強調! が最大の特徴かと思っていたら、場合によってはベース音色も平気で抜くんだと本作で知った。
ぜひとも本作を入り口に、この加減算の妙を味わって欲しい。
ひんやりしててきもちいよv

M-01 Radiation Ruling The Nation (Protection)
M-02 Bumper Ball Dub (Karmacoma)
M-03 Trinity Dub (Three)
M-04 Cool Monsoon (Weather Storm)
M-05 Eternal Feedback (Sly)
M-06 Moving Dub (Better Things)
M-07 I Spy (Spying Glass)
M-08 Backward Sucking (Heat Miser)