2017年5月18日木曜日

LOCUST 「You'll Be Safe Forever」


SEEFEELを外からそっと見守る男:マーク・ヴァン・ホーエンのソロユニット、2013年作五枚目。
PITAことピーター・レーバーグが運営するオーストリアの名門:Editions Megoからのリリースで、装丁はレーバーグのKTLでの相棒:ステファン・オマリー

M-01 Fall For Me
M-02 I Hear A Quiet Voice
M-03 Strobes
M-04 The Worn Gift
M-05 Just Want You
M-06 Remember
M-07 Oh Yeah
M-08 Do Not Fear
M-09 More Like Prayer Than Science
M-10 The Washer Woman
M-11 The Flower Lady
M-12 Subie
M-13 Corporal Genesis



2017年5月6日土曜日

STARLICKER 「Double Demon」


流離のコルネット吹き:ロブ・マズレク大将が、TORTOISEでどっちかというと太鼓を叩いている人:ジョン・ハーンドンと、お髭の鉄琴叩き:ジェイソン・アダシェヴィッツ――つまりコレでゲストに呼んだ連中と組んだ2011年作品。
1953年設立! 大将懇意のシカゴ発老舗ジャズレーベル:Delmarkより。

結論から書けば、大将関連作品中で相当聴きやすい部類に入る。
まず音色はたった三つ。大将のコルネット、ハーンドンのドラム、アダシェヴィッツのヴィブラフォン。ベースなし、サンプラーによる装飾音なし、ゲストなし。徹頭徹尾スリーピースに拘った、スリーウェイジャズマッチだ。
よって音像がシンプルで各音色が把握しやすい上に、いづれも等価で存在をアピール出来る。おまけにフリージャズにありがちな、音感頼りのはちゃめちゃな崩しプレイ(俗に言うインプロ)がほぼない。
重ねて曲調が終始アップテンポ。ドラムもヴィブラフォンもがんがん打ち込む。
ハーンドンは演れる時は殺る人なので平常運転なのだが、アダシェヴィッツまで『俺も打楽器だ!』と言わんばかりに四本の撥を駆使して瀑布の如き鬼神プレイを見せる。この両名の向こう見ずなイケイケっぷりが、アルバムに一本筋の通った緊張感を齎している。
鉄琴は透明感のある落ち着いた音色が特色と思い込んでいたら、こういうアッパーな用い方もあるんだと筆者は目から鱗が落ちた次第。TORTOISEでどっちかというと鉄琴を叩いてるジョン・マッケンタイアさん、こんなん如何ですか?

で、主役。
普段はド派手な音で聴き手の注目を掻っ攫う金管楽器使いのマズレク大将。こんなアグレッシヴな二人に釣られて、ブロウかましまくりのエフェクターかけまくりの肩肘張ったコルネット裁きを聴かせているのかと言えば、そうでもない。
思ったより我関せず、素の音で当ブログでいうところの〝マズレク節〟を飄々かつ朗々と吹き鳴らしている。
そもそも大将はコンポーザー志向の勝ったジャズメン。我を抑えて仲間を立てるのはお手の物。加えて、一聴三名が好き勝手鳴らしているようで要所ではキメを揃えたりと、仕切っている大将のコンポーザー頭と各プレイヤーの高音楽IQの賜物により、楽器を鳴らしながら音楽を創る過程を垣間見せてくれる。

ココまで聴き手側に歩み寄っていただけるなんてほんと、感無量デス。
ねえ、ちょっと小難しいジャズ聴いてみたいなあ……なんてイケナイ好奇心を抱いてしまったそこのア・ナ・タ。マニアが推すよー分からん太古の名盤なんか後回しにして、まずはここらへんから足を踏み入れてみませんかィ……?

M-01 Double Demon
M-02 Vodou Cinque
M-03 Orange Blossom
M-04 Andromeda
M-05 Triple Hex
M-06 Skull Cave