オランダ出身、ドンとローエルのファンケン兄弟によるエレクトロニカユニットの編集盤。2005年発表。
内訳は、2002年「Elaztiq EP」からM-09、10、11。同年「Bourbon Sound EP」からM-01、04、06、08。翌2003年「Part 5」からM-02、03、05、07。それに日本のみ、「Elaztiq EP」収録曲なのになぜか割愛されたM-12にKETTELのリミックスM-13を加え、構成されている。
言うまでもなく彼らはNONGENETIC率いるアングラヒップホップクルー、SHADOW HUNTAZのトラックメイカーだ。ならば本作はヒップホップ流儀に準じたブレイクビーツ音楽なのかと言えばさにあらず。
向こうの作品ではある程度、作風をすり合わせていた。もちろん、自己作品にそんな配慮は要らない。
ひたすらデジデジしく、メロディにも気を配ったインストニカ。ヒップホップ色は薄いが、薄暗いトラックばかりなので〝ある意味アブストラクト〟なのかも知れない。
本来、そんな作風。
となると真っ先に思い浮かぶ音像がBOLA師匠。
はっきり申し上げて、音世界は似てなくもない。そこを論う、嫌な聴き方も出来る。
ただ、彼らの場合はトラック構成が相当異常だ。
BOLA師匠は音数を切り詰め、主音を立ててトラックを組んでいるが、彼らはまるで逆。これでもかとばかりがんがん音色を詰め込む。しかもグリッチのような無機的な音ではなく、記譜出来なくもない有機的な音を惜しげもなく用いるのだ。
寄木細工のような整合美、と評して憚らない。
メロディを味わうだけでなく、構成力や引き出しの多さを堪能出来る本作は、編集盤ながらなかなかどうして気持ち良い作品となっている。
M-01 Noir
M-02 Strip
M-03 Pipe
M-04 Sphere
M-05 Lignite
M-06 Velvet
M-07 Loaded
M-08 Sparkzz
M-09 Brik
M-10 Dredge
M-11 Bump
M-12 Elaztiq (Japanese Bonus Track)
M-13 Loaded (Kettel remix) (Japanese Bonus Track)