仏国人のレティシア・サディエール含む女声ツインヴォーカルを軸に、英国人のティム・ゲインが統括する、五人組おしゃれバンドの七枚目。1999年作品。
ジャケは言わずもがな、ジュリアン・ハウス。
某まんがのせいかは分からないが、このバンドを「オサレな輩がファッションでBGMにするスカしたバンド」と思っている方も居るのではなかろうか。
まあ、それも良い。
ただ、それだけじゃないのよ、と。もっともっと音楽に対して真摯なのよ、と。
元々がラウンジやモンドやクラウトロックのような、今となっては古めかしくて妖しい響きの音楽を自らの血肉にしたバンド。(そんなトコが、サブカル≒オサレ扱いされる所以か)
そこへ、ブラジル音楽の要素を本格的に取り入れてきたのが本作。
ハナのM-01から、南米特有の肉感的なビートを敷き、ゲスト参加のロブ・マズレク大将が気泡のようなコルネットを鳴らし(他、M-02、06、08、13でもプレイ)、そこへヴィブラフォンとギターのカッティングを重ね、女声二色のスキャットを絡める――そんなわくわくする曲から始まる、今までの彼らでは味わえなかった「ドーンときてガシャーンとやられる感覚」は特筆モノ。
一夜漬けのイッチョカミでは湧き上がらない抜群の咀嚼/吸収力と、この作品で演りたいコトが迷わず具現化出来ている点、そこが大きい。
その一翼を担っているのがやはり、前々作よりプロデュースするジョン・マッケンタイア。時折、顔を覗かせるヴィブラフォンや、おかしな手数のドラムは彼のプレイによるもの。
そんな彼が指揮する曲はM-01、02、04、06、08、10、13、15。
では他のM-03、05、07、09、11、12、14はと言えば……何とあのジム・オルーク。M-05やM-11から12などの落ち着きのなさや酩酊感は如何にも。
未だ在籍しているのか外部からの助力なのか分からないショーン・オヘイガン(HIGH LLAMAS)を含めて、これだけの辣腕に支えてもらえるのも偏に、七枚ものオリジナルアルバムを重ねてきた実績と、その実が伴った本人らの力量と、自己を確立しても尚、貪欲に新たな音を取り込もうとする努力に他ならない。
本物だからこそ〝おしゃれ〟なのだな。
M-01 Fuses
M-02 People Do It All The Time
M-03 The Free Design
M-04 Blips Drips And Strips
M-05 Italian Shoes Continuum
M-06 Infinity Girl
M-07 The Spiracles
M-08 Op Hop Detonation
M-09 Puncture In The Radax Permutation
M-10 Velvet Water
M-11 Blue Milk
M-12 Caleidoscopic Gaze
M-13 Strobo Acceleration
M-14 The Emergency Kisses
M-15 Come And Play In The Milky Night
M-16 Galaxidion (Bonus Track For Japan)
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