2014年9月30日火曜日
31 KNOTS 「Worried Well」
オレゴン州ポートランドの変わり種スリーピース、2008年作の七枚目。
レーベルは引き続きPolyvinyl Record。
このバンドにはドラムを兼任する録音技師:ジェイ・ペリッチが居る。その兄弟のイアンが今回も手を貸している。ミックスに至ってはそのイアンの単独作業とクレジットされている。
なのにとうとう、バンドの司令塔:ジョー・ヘージがエンジニアとしても首を突っ込むようになってしまった。
ああ、これがコントロールフリークか……。
だが音世界はさほど変わりなし。相変わらず色とりどりのキモ可愛い顔が練り込まれた十二本(日本製は更に二本増量!)の金太郎飴。
他メンバーへの締め付けもなし。フィンガーピッキングの手練れベーシスト:ジェイ・ワインブレナーは今回も生き生きとフレットを上から下まで動かしまくる。心なしかペリッチのドラムにも勢いを感じる。
どうやらこのヘージ、自分以外のパートは誰が好きに演ろうと気にしないタイプのようだ。
それよりも前作から垣間見せていたのだが、核である彼に変化が表れ始めた。
ギターを演奏して曲を組み立てることに頓着しなくなった。
今回ギターを軸に用いた曲は、手拍子付きのアカペラ風イントロから雪崩れ込むM-02。調子外れな歌とワインブレナーの肩肘張ったベースフレーズへ執拗に絡むM-07。音割れも辞さず爆発的な加減速を繰り広げた果てに……のM-08。ハモンド風シンセを巧く用いてドラマチックに仕立てたM-10と、ギターの単音爪弾きからサビでの掻き鳴らしでエモさを演出するボートラのM-13くらいなもの。あとは味付け程度か、ピアノを立ててギターレスの曲も多い。サンプリング音やループの含有率もいつも以上だ。
あくまで憶測だが、ヘージがピアノを弾いている時、ベースが鳴っていない代わりにギター音が聴こえる曲もあるので、ギターも弾けるワインブレナーに委ねてるケースもありそう。ピンポイントでギターの音色を欲しがってる曲もあるので、あらかじめサンプラーにギターフレーズを突っ込んでおいて場面場面でワンショットやループする手法も取りそう。
彼の本質はギタリストでもシンガーでもなくコンポーザーなのだから(リズム隊には好きに演らせて、音世界のキモを握る)自分があれこれ演れる体勢を取るのも理に適っている。
そもそもこの程度の変化で、盤石のヘンテコ31 KNOTSサウンドは揺らぎもしないのだから、ますますもって正しい。
そんな彼のギター離れ、コンポーザー視点強化が、エンジニアとして直接音を弄りたくなった理由に繋がるのかも知れない。
己の脳内音を具現化したいのなら、自分である程度何でも出来るようになるべきなのか。
M-01 Baby Of Riots
M-02 Certificate
M-03 The Breaks
M-04 Something Up There This Way Comes
M-05 Take Away The Landscape
M-06 Strange Kicks
M-07 Opaque / All White
M-08 Worried But Not Well
M-09 Compass Commands
M-10 Statistics And The Heart Of Man
M-11 Upping The Mandate
M-12 Between 1 & 2
M-13 Turncoat (Bonus Track For Japan)
M-14 Who Goes There? (Bonus Track For Japan)
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