2015年5月20日水曜日

GROUPER 「Dragging A Dead Deer Up A Hill」


またココか! オレゴン州ポートランドの宅録おねいさん:リズ・ハリスのソロユニット、2008年発表の四枚目。
オリジナルリリースはバーミンガムのTypeだが、2013年にシカゴのKrankyよりリイシューされた。どっちのレーベルも妖し過ぎる……。

音楽性を端的に表すと、アシッドフォーク。
おそらくかなりヴィンテージな(≒古ぼけた)機材で録っているであろう、デモテープさながらな音質。ダビーというよりも、全体的にぼやけた音像。
軸はリズおねいさんの歌――よりも、おねいさんが奏でるアコギとかエレギとかエレピ。真中中央にどっかと腰を下ろしている。そのやや上から、慎ましげにおねいさんの歌。声質から淡白一辺倒かと思いきや、儚げだったり、清らかだったり、陰鬱だったり、投げやりだったり、凛としていたりと、なかなかヴァラエティに富んでいる。その歌声をオーヴァーダブでハモらせたりもする。
ただし、ちょいちょいグリッチや裏に回ったエレピなどの副音に埋もれてなし崩し化する。
こんなロウさはアルバム全体にも波及。軽度な編集を施しているにもかかわらず、トラックの頭と終いでさーーーっと存在をあらわにするヒスノイズは放置。ギター弦が指と運指でこすれるきゅっという音、ピックがピックアップにばちっと当たる音すら拾う。音割れしない程度に、副音どころか主音すらハウリングを起こしてたりもする。

臨場感を出したいのか、生々しさを出したいのか。
いや、彼女の音による主張は一貫している。
音を意のままに操っているのではない。全てを受け入れている。
あなたはすきにしてくれてかまわない。だから、ありのままのわたしをみて。

何となくメンヘラなおねいさん(誤解なきよう記すが、彼女の肉声は強い意志を感じさせる自立した女性のそれだ)によるセルフヌード音源集(モノクロ)。
ただ、音像のあまりのアレさから素人ヌードのような雰囲気もあるが、あくまで彼女はプロ。自らのヴィジョンを余さず映し込むための技巧、と好意的に捉えることも可能。
まんまんくぱりんこしたり、ちんちんずぼずぼしたりするだけがヌードじゃないってことだね。

M-01 Disengaged
M-02 Heavy Water/I'd Rather Be Sleeping
M-03 Stuck
M-04 When We Fall
M-05 Traveling Through A Sea
M-06 Fishing Bird (Empty Gutted In The Evening Breeze)
M-07 Invisible
M-08 I'm Dragging A Dead Deer Up A Hill
M-09 A Cover Over
M-10 Wind And Snow
M-11 Tidal Wave
M-12 We've All Gone To Sleep


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