2015年8月2日日曜日

MOGWAI 「Rave Tapes」


スコットランドはグラスゴーの白き轟音獣、八枚目のオリジナルアルバムは2014年作。
EUは自分のトコ。USは説明不要! 引き続きシアトルのSub Pop Records

結論から書くが、拡散志向でファニーだった前作前々作と比べて焦点を絞り、シリアスに攻めている感がある。前作で茶化し気味だったヴォコーダー声も、本作のM-10では甘く優しく切なく用いられているくらいだ。
一方、エレクトロニカの要素を取り入れたという意見もあるが、それは全く正しくない。曲によってはキーボード音色を主音に立て、ループというよりもリフっぽく反復しているだけでニカ導入はないでしょうよ。
しかもアルバム後半でそこら辺を担っていたキーボード音は奥に追いやられるし。あと当たり前だがボトムも打ち込みでは一切なく、ドミニク・アイチソンとマーティン・ブロックの生々しくも破壊的なベース・ドラムコンビだし。
もっとニカの音色使いは執拗でいやらしいんデス。

つまりMOGWAIの持ち味の一つである、ゆったり厳粛に始まり、やがてぐわっと激情が鎌首を擡げる至高のダイナミズムは健在。
無論、終始寂寥感を漂わせたまま締める静謐な曲も忘れてはいない。
ごりっとしたスラッジコアリスペクトのドヘヴィな触感も残してある。

ただし、ほぼ代名詞である〝白き轟音〟と謳われたフィードバックノイズが影を潜めた。
でも取り払っていない。ちょぼちょぼ、背景音としてさり気なく存在を誇示しており、にやりとさせられること請け合い。
その点をどう感じるで本作の評価が分かれると思われる。
筆者は、拡散志向に移ってバンドとしての円熟味が増したと考えているので、今更曲のダイナミズム誘因を白き轟音というアイコンに頼るまでもない! と言い切ることにする。

最後にいつもの一言。
『良い音を授けて下さる方々を、我々が窮屈な型にはめてはいけない』

M-01 Heard About You Last Night
M-02 Simon Ferocious
M-03 Remurdered
M-04 Hexon Bogon
M-05 Repelish
M-06 Master Card
M-07 Deesh
M-08 Blues Hour
M-09 No Medicine For Regret
M-10 The Lord Is Out Of Control
M-11 Bad Magician 3 (Bonus Track For Japan)
M-12 Die 1 Dislike! (Bonus Track For Japan)

ちゃんとしたボートラをくれる日本思いの彼らなんで、Hostessからの国内盤がお薦め。


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