2017年3月26日日曜日

DAY ONE 「Probably Art」


うそん! まだ演ってたん!?
呟きラッパーのフィレム、何でも屋のマシューからなるブリストルの非モテ系ヒップホップデュオ、2005年作の2枚目。

ついつい前作の印象から〝非モテ〟と書いてしまったが、あれから二人とも結婚して子供も生まれたそうな。よかったねおめでとう。ちなみに英盤(2007年リリース)のジャケに書かれた赤いタイトル文は、フィレムの息子によるモノだそうな。
だからという訳ではないが、本作から多少リア充ぽい雰囲気が漂っている。
彼らを見出したマリオ・カルダートJr.人脈からミックス・マスター・マイクベックのサポメン、かの著名ラッパー:ウィル・アイ・アムAZTEC CAMERAオリジナルドラマーなど、ゲスト陣が垢抜けたのもある。
それ以上にのっけのM-01から飛び出すコレとかアレのような、へらへらちゃらちゃらした西海岸のボーダーミュージック的爽やかさが異色になっていない点で気付くことだろう。

だが、そのような表層的な変化よりも、しっかり変わらず残っている部分に喜ぶべきかと思う。
英国人ならではの湿った、明るくなり切れない音楽性を。

模擬ストリングスを合いの手に用い、各種サンプル音や民族楽器を忙しなく散りばめたM-03。同様にサンプル音をばらまきつつ、パンチラインで金、金、金、金、と連呼して聴き手の耳にあざとく引っかけてくるM-07。こちらも連呼系パンチラインだが、各種副音の絡みが絶妙なウィル・アイ・アム参加のM-08。レコードでいうA面とB面を締めるM-06と12では、それぞれ生ヴァイオリニストと生チェリストを迎えて前作のままの寂寥感を醸し出し、なぜかほっとさせる。
お蔭でM-01、M-05、M-09、M-10のような、サビで爽やかに盛り上がる件の西海岸チックな曲が従来通りはにかんで聴こえるのだから、アルバムの流れに巧く溶け込んでいると言えるだろう。

きちんと練られた楽曲がこれ以上ない曲順で並べられることで地味に後引く、スルメ型の好盤。
音楽的成長に年輪を感じさせるのが良い。

M-01 Bad Before Good
M-02 Cosmopolita
M-03 Feet Firmly On The Ground
M-04 The Little Things
M-05 Saturday Siren
M-06 Now I'm A Little Older
M-07 Money
M-08 Give It To Me
M-09 Travelcard Traveller
M-10 Probably Art
M-11 Time To Go
M-12 Who Owns The Rain


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