2012年6月6日水曜日

TEETH OF LIONS RULE THE DIVINE 「Rampton」


ヴォーカルならぬ〝Hexing Pariah〟のALF ANTISOCIAL、ギターならぬ〝Flagellation In Beautiful Sixes〟のDRONE SLUT、ベースならぬ〝Of The Night Goat〟のMYSTIK KLIFF MACABRE、ドラムならぬ〝Avalanche〟のCRIPPLED BLACK PHOENIXの四人からなる英米スラッジコアプロジェクト、唯一の音源。2002年作品。
その正体は何とまあ、NAPALM DEATHCATHEDRALのリー・ドリアン、SUNN O)))の二人、IRON MONKEYELECTRIC WIZARD→いろいろのジャスティン・グリーヴスによるスーパーバンドだ。
今回は珍しく、アートワークにドローン・スラットステファン・オマリーが噛んでいない。

それにしても……くくっ、この変名やらパート呼称って……くすくすっ、厨二病現在進行形の……あははっ、今となっては過去恥部ー、って感じじゃないですかー!
グリーヴスに至っては、後にこの変名を自らのプロジェクトに冠するぐらい気に入っちゃってるし。
つかバンド名、引用元まんまだよね……。

とまあいろいろ枕に顔を埋めて足をばたばたさせたくなる要素満載のこのアルバムだが、内容は相当えげつない。
何せ一曲目から29分25秒の大曲。
音がやけに籠もっているのはわざと。このジャンル特有の〝禍々しい生々しさ〟演出のためと割り切って欲しい。と言うか、プロデューサーのビリー・アンダーソンが絡むと決まってこんな音像。
グリーヴスのドラムがイントロとなり不吉な予兆。そこへ徐々に漆黒フィードバックで塗り込めようとするSUNN O)))の二人。その暴虐に抗うべくグリーヴスも躍起になるも、健闘空しく取り込まれる。刻印のようなヘヴィリフの手先となる。やがて……こんふう音の表をやけに強調する〝稀代の音痴〟ドリアンの咆哮の斧が振り下ろされた瞬間、好事家納得の音世界が聴き手皆に提示される。
具体的に書けば『SUNN O)))のあの音像がバカデカいビートの上で再現され、そこへ誰も真似しない唯一無二の歌声が被さる』。
個性と自我と天然のぶつかり合いだが、コレが意外と齟齬を起こさず、奇跡的な配分で聴き手の鼓膜を圧殺すべく共闘しに来る。
かと思えばM-03はドリアンのCATHEDRAL色全開のトラック。オルガンを巧く使ってドゥーミーに17分53秒を料理している。
こうなると当ブログで扱うには重過ぎる嫌いはある。ただ、全体的に重苦しさ一辺倒で押し切るだけとは限らない工夫もぽつぽつ、さり気なく仕込まれているので、耐性さえつけば十分聴き応えを感じていただける創りだ。

熱量を醸し出しやすい音楽だからと、上澄みだけ掬って生半可に鳴らすポーザーも多いこの界隈。こんな殺る気むんむんな音を叩き付けて来る連中に向けて〝厨二病〟と揶揄するのは些か失礼にあたるのかも知れない。
依然シーンに君臨し続ける猛者の共同体ならではの本気が、ココにある。

M-01 He Who Accepts All That Is Offered (Feel Bad Hit Of The Winter)
M-02 New Pants And Shirt
M-03 The Smiler

M-02はシカゴの老舗インディーTouch And Goに所属したKILLDOZERのカヴァー。原曲を踏襲しつつも、ジャンク臭を消して如何にもな出来に仕上げている。
また本作は、ミスティク・クリフ・マカブルグレッグ・アンダーソンのSouthern Lord同様、自己レーベルを所有するALF・アンチソーシャルドリアンのRise Above盤もあるよ!


0 件のコメント:

コメントを投稿