2016年2月22日月曜日

ONEOHTRIX POINT NEVER 「Garden Of Delete」


おいコラ、ロパ公!
Warp移籍ですっかりチョーシコイてる一気に知名度を上げた、ダニエル・ロパーティンの七枚目は2015年作品。
ジャケ絵は自ら手掛けたもの。

前作よりはちゃめちゃ度アップ。
ライヴを頻繁に演るようになってクラウドを意識し始めたのか、本作は割とビートがある。しかもアッパー系の。
また上モノに、やはりクラウドを意識してかEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージックの略)で使われるような扇情的でぺなっぺななシンセ音を多用するようになった。
それとは逆に、ヘヴィメタルちっくなギターをちょぼちょぼトラックに織り交ぜるような、作品の方向性としては理解に苦しむ音色選択センスも聴き逃せない(まるでシュラプネル系のギターヒーローが弾いたかのようなソロもあるぞ!)

その結晶がM-04。
少年の無機質な歌声を主音に据え、チェンバロのような格式高い音色が脇を固め、彼の平常時を表現したかと思えば、やがて音色が歪み、キックが連打され、声が濁り始め……打ち込みブラックメタルばりの狂乱突貫パートに挿げ代わる。
――まるで悪魔に憑りつかれたみたいに。
パーツをぶつ切って密に転換するメソッドを用いる彼だからこそ生めた本作のハイライト。

で、気になるのはそれ以後――いやアルバム全編にわたって、はちゃめちゃ、傍若無人に暴れ狂っているのだろうか? ってトコ。
実はそうでもない。
きちんと通して聴いてよくよく考えてみると、前作で結実した、ザッピングを多用して聴き手の感受性を攪拌し、落ちどころを定めさせない〝脳内ロパーティン劇場〟が手段を多少代えて、淡々と、かつ飄々と再提示されている事実に気付く。
前述のM-04や、剽窃なのにどこか落ち着きないところが如何にも彼らしい〝ロパーティン流EDM〟のM-02やM-06など、本作のアイキャッチにしか過ぎないのだ。
目先のインパクトに騙されては奴の思う壺だ!

こういうアンテナはびんびんに張り巡らせて様々な要素を柔軟に取り入れはするけど、どれも上っ面までで留めておくこの気質、彼の胡散臭さ強固な自信の表れかと思う。
ちなみに本作、コンセプトアルバムらしい。

M-01 Intro
M-02 Ezra
M-03 ECCOJAMC1
M-04 Sticky Drama
M-05 SDFK
M-06 Mutant Standard
M-07 Child of Rage
M-08 Animals
M-09 I Bite Through It
M-10 Freaky Eyes
M-11 Lift
M-12 No Good
M-13 The Knuckleheads (Bonus Track For Japan)

日本盤ボートラは前作とは違いきちっとトラックしているのでまあ、こちらかな……?


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