泣く子もにやつくシアトルのサックス吹き、2006年発表のソロ作。
よく映画で〝構想十年!〟やら〝制作期間十年!〟やら大仰なタタキ文を目にするが、要はその企画が配給会社に売れなかっただけ。つまり、年数掛けた意味などない。
一方、音楽アルバムの本作は、1993年から2003年までに録り溜めていた音源を蔵出しした作品でしかない。日本盤以外は自主制作盤なのもやむを得ない。
さて、あえて上記のデータを踏まえずに聴いていただきたい。
ゲストは多彩。
相方のマイク・ディロンはちょろっと(M-02でパーカッション)だけ参加。他に筆者の知っている名前では、SUNN O)))やEARTHを手掛けたシアトルの録音技師:ランドール・ダン。同じくシアトル系録音技師のメル・デトマー。本作のアートワークも手掛けるマウリース・コールドウェルJr。別プロジェクト:CRACK SABBATHの仲間(伝説のスラッシュコアバンド:THE ACCUSEDの再結成メンバー含む)。同じく別プロジェクトのSYNCOPATED TAINT SEPTETの仲間。
共通項は〝シアトル周り〟なだけで非常に節操のない面子だが、内容もかなりアレ。
M-02など真っ当なくらいスケリックっぽい多重録音のサックスが大活躍するジャズファンクなのだが、後はもう滅茶苦茶。
ヴォコーダーが大活躍する似非ソウルのM-03。ナメくさったヴォーカルが妙にイラつくヘンテコファンクのM-04。10分にも亘るポエトリーディング風ヒップホップ曲M-05。ヴァイオリンとスケリック自身が叩くヴィブラフォンを立てたポストロック風のM-06。声楽を茶化したM-07。前半でヒップホップの、後半でハードロックのだっさいところをわざと凝縮させたサンタクロース礼賛曲M-09と10――
……まあ、まとまりがなさ過ぎてしょーもない作品なのは確か。だがお茶目なスケリックのキャラも相俟って、その散漫さも許せてしまうはず。
そうなれば蔵出し編集盤っぽい臭いも感じられないはずだし、そもそもアウトテイクにしては趣深い曲ばかり揃えており、聴き手の覚えもよろしいはず。
なら如何にもスケさんのソロアルバムっぽいよな、と御納得いただけるはず。
あんまり深く考え込まない方が良い。それほど深いコト考えてなさそうだから。
M-01 Black Bong
M-02 BMF
M-03 Colon Pile
M-03 Colon Pile
M-04 Touch Of Tenderness
M-05 Invisible Bowl
M-06 Et Tu Koko
M-07 Nightmare Before Circus
M-08 Psycho Circus
M-09~10 Must Be Santa
M-11 BMF Reprise
M-12 The Nappy Triangle
0 件のコメント:
コメントを投稿