カナダの夫婦スラッジ善哉、約一年半ぶりの単独フルレングスアルバム。2014年作。
2010年に本作と同じ、ブラジルのEssence Musicから切った「Autopergamene」(注:リンク先は通常盤)149セット限定ボックス仕様の装丁の素晴らしい出来栄えに甚く感動した夫妻。今回のもこだわってマス。
光沢を抑え、シックで肌触り滑らかなマットコート紙を用いたゲートフォールド紙ジャケ。しかも厚手のボール紙にシルクスクリーンで手刷りした帯(俗にいう〝Obi-Strip〟)付き。
まるで例のトコから出した日本盤みたいデス。
さて内容は、四曲とも九~十分。NADJAとしては長くもなく、短くもなく。
音世界はいつも通り、曇天泥濘牛歩鈍重音楽。全曲、例の溶けて消えゆきそうなヴォーカル入り。ただし、「Dagdrom」を機に移行するかと思われた生ドラム路線ではない。普段通りの打ち込みドラム。
また、今までより若干、拡散性ギターノイズ――つまりシューゲイザーちっくなギター音色が強いような気がしなくもない。まあ司令塔のエイダン・ベイカーは『シューゲイザーがバックボーン』と吐露しているクチなので、何ら問題はない。
こうなれば安定のNADJA印。悪い訳がない。
けど、どうせ奴らは金太郎飴。差異などこのくらいか? なんてヒネクレ心で高を括っていればM-04で眉根が寄るはず。
何と、泥濘牛歩を貫徹する彼らなりに軽快な変拍子ビートをボトムに敷いてきたのだ。
とは言え、上モノは相変わらず拡散性のあるへヴィディストーションギターなので、思ったより違和感はない。むしろマシーンビートを拍としか考えてなさそうだったベイカーがビート構成に目覚めたかも知れないと推測すれば、筆者的には朗報だ。
なお、この曲が作中、一番シューゲイザー臭い。
以上を踏まえて、本作はNADJAとしては〝外伝〟の扱いを受けると思われる。無論、彼らは外伝でも一切手を抜かないのは語るに及ばず。
最後に本作、CDはたった300枚限定だそうな。(LPは白盤・黒盤合わせて353枚)
M-01 Dark Circles
M-02 Mouths
M-03 Lidérc
M-04 Quell
M-04 Quell
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