2014年5月10日土曜日

TIM EXILE 「Listening Tree」


ベルリン在住の英国人:ティム・ショウによる2009年作のEXILE名義(苦笑)を含めて三枚目。
Warp Recordsデビュー盤だが、正確には〝コーンウォールのガリ勉野郎〟マイク・パラディナス(μ-ZIQ)率いるPlanet Mu Recordsとの共同リリースになる。

Planet Mu単独リリースの前作(2006年発表)は、クラブミュージックの極北:ブレイクコアが強いレーベルからということで、音楽的破綻も辞さぬはちゃめちゃな出来だった。
それがもう……ココまで端正な作品を創れるものかと。
きらびやかなメロディの主/副音と重厚感のある背景音を耳一杯に広げ、朗々とした低音が魅力の彼自身による歌唱をフィーチャーし、絶妙なタイム感で組まれるいびつなボトムラインに心踊らされる。
ブレイクコアの名残りは、たまに音色を崩壊させたがったりする部分やら、前述したビート構成のいびつさくらい。

ここで〝ブレイクコアを忘れたカナリア〟と叩くのは非常に偏狭な意見かと思う。
なぜなら彼は幼少期に聖歌隊に所属し、バロック音楽などクラシックの教育を受けた後、ローティーンでクラブミュージックに開眼する異端児だからだ。

それを踏まえて聴けば、この本作のムダなくらい大仰な曲調の根幹が見えてくる。
M-02やM-07の加速/減速を交えたドラマティックな構成。ニューロマ派生かと思われた自身のヴォーカルスタイルや、M-05での高音パートの絡ませ方。静かにアンビエントで締めるかと思いきや、後半でTIM EXILE AND HIS COMPUTER ORCHESTRA化する壮大なM-10など――
自分のバックボーンを今自分が一番楽しめる音楽で小出しに表せるなんて、何と芳醇な音楽環境であろうか。
なお、音響工作も込み入っており、各音色が有機的な粒子となって生き生きと鼓膜を通じ、脳内で自由に弾け回っている。
それは打ち込み派生の上モノに限らない。ワンフレーズごとに細切れにしたヴォーカルや、ビートパーツも例外ではない。取り込んだ生音を加工し倒して別物に精製するセンス(M-05の出だしのループ、明らかに音楽室の人気者:ギロだよね)も特筆すべき点だ。

音色過多を聴きやすく整えるテクスチャ面、良質な音色選択感覚、意外にも有す大衆性など、興味本位の者まで取り込めそうな秀作。

M-01 Don't Think We're One
M-02 Family Galaxy
M-03 Fortress
M-04 There's Nothing Left Of Me But Her And This
M-05 Pay Tomorrow
M-06 Bad Dust
M-07 Carouselle
M-08 When Every Day's A Number
M-09 Listening Tree
M-10 I Saw The Weak Hand Fall
M-11 Carbon Tusk (Bonus Track For Japan)


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