2014年8月10日日曜日

DEATH GRIPS 「Money Store」


HELLAのクレイジービーター:ザック・ヒルと、ココでもツルんでるアンディ・モリンの2トラックメイカー、怪人:ステファン・バーネットの1MCからなるイカレヒップホップトリオのデビュー盤、2012年作はメジャーのEpicから。
ジャケはご覧の通り、HENTAI文化などのキワモノ系題材を嬉々として弄り倒す露悪趣味な作風のスア・ヨー。(セクシャルマイノリティ擁護のメッセージ? 知らんよ)

安くて鬱陶しい音色を撒菱の如く散りばめる、ライヴではシンセ担当のモリン。M-02ではいつもの詰め込み過多なビートを披露しているが、全体的にはタメを利かせたそれに終始している、ライヴでは生ドラム担当のヒル。この二人が耳障りでブリーピーな音色を、寄って集ってエフェクト掛けまくり、ディレイしまくり、フィルター掛けまくる――無論、バーネットのラップへも。おまけに無配慮なワンショットも、明らかにラップの邪魔をするタイミングでぶち込みまくる。
以上、聴き手の脳裏にこびり付けるためには手段を選ばない、並のラッパーなら存在が消し飛んでしまうくらいがちゃがちゃした上モノとボトムに対し、この見るからにヤバそうなタトゥー塗れの狂犬は、渡り合うどころか完全に手の内に入れているのではないかと思えるほど馴染んでいる。
何なんだこの存在感は。
そんなバーネットのラップスタイルは基本、オラオラ系。あまり韻にはこだわらず、リリックの内容も特に意味はない。だが抜群の声量と栄えるトーンから繰り出されるフロウは、ボクサーのような彼の肉体同様に強靭かつ、押し殺した声色で目先も変えられるしなやかさも有している。

はちゃめちゃなようで、本人はきちっと第三の目で自我を見つめている。本作が意外とバランス感が取れていて分かりやすいのも、彼が突き抜け過ぎていないお蔭かも知れない。(突き抜けていたらこのアルバム、どうなってたか……)
よくこんな逸材を拾って来れたな、と言わざるを得ない。(イメージが崩れるので伏せ文にするけど、彼はヴァージニア州のハンプトン大学で視覚芸術を学んだ知性派でもある)

三者三様のうっざいうっざい個性が三位一体となって共存共栄し、聴き手の耳へ波状攻撃を仕掛けてくる奇跡の一枚。
激烈なインパクトから勢い任せに聴こえるので、各々の背景より漂うアート臭さが相殺されているのも良い。

M-01 Get Got
M-02 The Fever (Aye Aye)
M-03 Lost Boys
M-04 Blackjack
M-05 Hustle Bones
M-06 I've Seen Footage
M-07 Double Helix
M-08 System Blower
M-09 The Cage
M-10 Punk Weight
M-11 Fuck That
M-12 Bitch Please
M-13 Hacker


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