2012年8月8日水曜日

REMINDER 「West Side Cabin」


言わずと知れたフィラデルフィアの人力ヒップホップクルー、THE ROOTS最初期に在籍し、現在は人力ミニマルバンド、TOWN AND COUNTRYなどでシーンを駆けずり回るダブルベースプレイヤー、ジョシュア・マイカ・エイブラムズ、二枚目のソロプロジェクトアルバムがコレ。2007年作品。
本作は日本先行発売で、海外リリースをするなら前作同様、この界隈を持ち前の小器用さとオサレ感で跋扈するスコット・ヘレン(a.k.a.PREFUSE 73)が一枚噛んでいるEastern Developmentsになるはずなのだが……。

M-01の鈴虫の音(ね)を経て始まるM-02を一聴きし、「そら(経歴からして)そう(いう音世界になる)よ」と知ったかぶって納得出来る真っ当なインストブレイクビーツ――
が、全編繰り広げられるのかと思えばさにあらず。
M-04はアコギの爪弾きをフィーチャーして、Ninja Tune連中を想起させるジャジーなブレイクビーツ。M-05は自身のベースがぐいぐいトラックを操縦し、レゲエ/ダブちっくに。M-06などTORTOISEのギタリスト、ジェフ・パーカーや、彼同様マズレク大将絡みの鉄琴プレイヤー、ジェイソン・アダシェヴィッツを呼んで、サーファーだかボーダーだかが副職として鳴らしてそうなゆる~いトラックを披露。
共通項は〝ブレイクビーツ〟だけ。
しかもM-09以降、TOWN AND COUNTRYでの活動を思い出したかのように生音含みのミニマル路線へ。ブレイクビーツ以上に反復の快楽をくすぐりにくる。
M-11に至っては15分越えの長尺ミニマル。終いにコレでは、聴き手の脳汁とろとろ。

この通り余りにも雑多過ぎる内容だが、ヒップホップからミニマルまでを守備範囲とするエイブラムズゆえに許せるような、もはやそんな些細な点などどうでも良いような。
本作はM-11のとろとろミニマル霧散後、再び鈴虫の音が鳴って事切れる。つまりRepeat再生で聴けばアルバムのハナとケツが連結することで、既聴感のあるトラックがいつの間にか始まっている! ような仕組み。

どうやら「難しいコトを考えず、だらだら聴き流し続けてくださいよ」と言いたげである。

M-01 Outside
M-02 Twospace
M-03 Soot
M-04 Look At Your Left Hand
M-05 Days Of Awe
M-06 Halfsies
M-07 Ekeke
M-08 Piper
M-09 Luck
M-10 What If Your Town Was Overun With Small Monkeys
M-11 Moonwalk


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