2012年10月4日木曜日
CHICAGO UNDERGROUND TRIO 「Slon」
シカゴのジャズ大将、コルネット吹きのロブ・マズレク率いる加減算ジャズプロジェクト、トリオ編成では三枚目。2004年作。
前作のややこしい編成から、今回は大将、テイラー(Ds)、クーパースミス(Double B)のトリオに戻る。しかもきっちり、三人で演奏を賄っている。
録音とミックス担当はバンディ・K・ブラウン。BASTROやらGASTR DEL SOLやらTORTOISEやらにも
在籍したことがある凄い人なのだが、現在フリー(苦笑)。
今回はTRIO版初のThrill Jockey Recordsリリースともあって、人力ジャズとエレクトロニクスの折衷作となっている。
M-01こそ如何にも大将っっ! なコルネットから始まるらしい曲だが、続くM-02、03と大将やクーパースミスが組んだいびつな打ち込みを軸に構成。M-02など、エレクトロニカさながらのビート音色に、大将の抑えたコルネットとクーパースミスのまろやかなベースが渋く絡む、耳を疑わんばかりの創りだ。
後はインプロありの、各音色を点で捉えてそこからまちまちの線を引くような音響曲(伝わらなければM-06を参照)ありので、雑多な印象を受けるかも知れない。
だがそれは、演っていることが三人編成のジャズなんだ、という基本線を忘れた認識なのではなかろうか。打ち込みに意識が向き過ぎなのではなかろうか。
現に本作の全体像は、三人の担当楽器を固定し、そこへ必要に応じて打ち込みを噛ませる、といったヴィジョンで徹底している。それだけM-02が、曲としては地味な部類なのにインパクトが絶大だったという結論に至る。
そこら辺をいつものマッケンさんレコーディングなら、巧くキモを理解して打ち込みを溶け込ませる手法が取れたのかも知れない。ブラウンという腰の落ち着かない何でもありな嗜好の持ち主だからこそ、このような煩雑さが滲み出てしまったのやも知れない。
もちろん筆者は前者が正解で、後者を取った本作が失策だとは微塵にも思わない。
逆に、真っ当なジャズへぴりりとスパイスを効かせた作品、と評するべきなのでは。
最後となって恐縮だが、本作は9.11の犠牲者に捧げられている。
黙祷。
M-01 Protest
M-02 Slon
M-03 Zagreb
M-04 Sevens
M-05 Campbell Town
M-06 Kite
M-07 Palermo
M-08 Shoe Lace
M-09 Pear
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