なにげにシカゴ界隈の猛者が集まったスーパーグループ、2000年発表の五枚目。
ジャケ写は当バンドの看板、Vo&Gのサム・プレコップ自身が撮った。
鼻歌のような気持ち良い抜け方をする独特の歌唱法を持つプレコップからして、このバンドの音像は爽やかなイメージがある。
ただしM-01のような例のマッケンさん(当然、本作のスタジオワークも兼ねる)が先導する軽快なビートに柔らかく沿わせる上モノ、という曲調からしてそれっぽいのだが、本作は全体的にどちらかというとメロウでウェットだ。アルバムが後半に進むにつれそれが顕著となる。
だからといってキモであるプレコップの歌がミスマッチとなる訳などまるでなく、メロウでウェットならその分、彼の歌声も憂いを秘めて聴こえてくるのだから不思議だ。別段、唱法を替えた訳でもないのに。
やはり看板はそのくらい芯が太くないといかん。
ただ、他が何の工夫もなくその看板の裏に隠れているようでは、誰もこのバンドを「実力者が集うスーパーバンド」などとは呼ばん。
中でもいぶし銀の活躍をしているのが、この中では些か経歴の地味なエリック・クラリッジ(B)。深みのある低音で常に存在感を露にしている。彼の芳醇なベースラインを耳で追っているだけでも琥珀色の蒸留酒が恋しくなるほど。
また見逃されがちだが、マッケンさん謹製の音響工作作品とあって、M-02のようにサビでアコギの旋律をループっぽく重ね、その一音符毎にスピーカーの左右に振り分けるなんて小癪なコトを平然と執り行っていたりする。
またM-04をはじめとする、管楽器の単体導入もさり気なくて好印象だ。
このように、1+1+1+1を10倍の800にするのが実力派集団の正しい形。
M-01 Afternoon Speaker
M-02 All the Photos
M-03 You Beautiful Bastard
M-04 Colony Room
M-05 Leaf
M-06 Everyday
M-07 Two Dolphins
M-08 Midtown
M-09 Seemingly
M-10 I Missed the Glance
M-11 Props Of Upper Class (Bonus Track For Japan)
M-12 Pitch Direct (Bonus Track For Japan)
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