2013年4月8日月曜日

JOHNNY CONQUEST 「Uptown For The Americas」


テクノモンスター:UNDERWORLDと関係の深いデザイナーズ集団:TOMATOメンバーのサイモン・テイラーに、文筆業のマイケル・ホーシャムと唯一の専業ミュージシャン:マーティン・グリーンを加えたユニット、2001年初作品。

UNDERWORLD絡みだからフロアをロックするテクノゥー! と決め付けてはいけない。
音楽のアマがプロに手を借り、何とか作品として成立させた企画モノゥー! と揶揄してはいけない。
以上を踏まえて漂う地雷臭ゥー! と偏見を持ってはいけない。
コレはなかなかどうして良い音楽(もの)です。

聴こえてくる音像はアブストラクトっぽさも漂う、オールインストのポストロック。
ベースがややダビーに曲を先導するところがアブストラクト。曲の編集にブレイクビーツを範とした方法論が用いられている以外、生音重視な点がポストロック。
ポストロックと言っても、MOGWAIとその子孫たちのようにギターディストーションが荒れ狂う、白い騒音系ではない。何でもアリで舌触り滑らかな音のミックスジュースを創っていく、シカゴ界隈でもない。『ぶっちゃけあんた方、ジャズっすよね!?』と言いたいマズレク大将一派な訳でもない。
さまざまな楽器を用いて(M-11では何と、日本人奏者を招いて琴も導入している)、鳴らしたいフレーズを反復し、重ね、揺らがせていく、FRIDGEに近い音楽性だ。
とは言え、FRIDGEさんサイドは穏やかな雰囲気に角の立つ独特の音使いが巧みな曲者。ジョニーさんらサイドはそこまで尖っていない。

だがそれにより、良い空気を有した緩さがアルバム全編を支配している。
癒し系感傷的なフレーズを主とした曲と、ベースを軸に低くうねる曲を交互に配置することで、あざといまでのメリハリをアルバムに齎していたり。M-09のように観客の声を織り交ぜた擬似ライヴっぽい手法でアットホームなムードを醸し出していたり。

この通り、固定観念でガチガチにして聴かず、環境の一場面として流す方が良さげな作品。そうするコトで、ところどころ感じ取れる気持ち良い音が無意識に耳へと入り込んで結果、はっとさせられてしまう仕掛け。
この出来を前にして、『本職持ちの片手間音源』と貶す者も居まい。
いろんな意味で、音楽を聴くのにそれほど情報って必要ないよなー、と思えてくる一枚。必要以上のクレジットがない、シンプルな装丁がそれを物語っている。

M-01 S'on The Side
M-02. Walking To Be A Pearl
M-03 Between You & Me
M-04 Lefthander
M-05 Fisherman
M-06 Kashmir Dark One
M-07 Lowslung
M-08 Nor'easter
M-09 Passenger On Board
M-10 Chrome Horse
M-11 Theme from The Outsider
M-12 Righthander (Bonus Track For Japan)


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