ああ、そういや書いてなかったね……。
元MASSIVE ATTACK準メンバーの、本名:エイドリアン・ソウズと、本作一杯で袂を別つマルティナ・トプリー・バードによるユニット、1998年作三枚目。
何を意味するのか、曰くありげにゲストが多い。
ジャズプレイヤー多めの人選の中、スラッシュメタルバンド・ANTHRAXのスコット・イアンや、THE LOUNGE LIZARDSのマーク・リボー、THE BOOMTOWN RATSのピート・ブリケットなど、意外な面々も。M-03には、あのPJ・ハーヴェイなんて名もある。
閉塞的な故郷・ブリストルを離れ、NYCに拠点を変えたことにより『いっぱいおともだちができたよ! うれしいなv』状態だったことが推測される。
となると本作は生音主体。しかも一枚目の時のようなサンプリングしといて『元ネタは興味ねえ』と吐き捨てた不遜さはなく、生演奏をそのまま用いる〝相手への敬意〟を覚えた様子。
ならば丸くなったのか!? と思いきや、この頃はマルティナとの私生活が破綻してきた時期であり、前作とは違う意味でぎすぎすした緊張感が張り詰めている。彼女に『あたしが去れば満足なんでしょ!?』と歌わせるM-07は強烈だ。
その一方で、多くのミュージシャンとコラボったことによるものか、作品自体が多様化を見せている点に本作の充実ぶりを見た。
ハーヴェイを迎えた暗黒ゴスペルのM-03。高速ブレイクビーツをバックに呪詛を吐き続けるM-06。トラック自体はフリージャズ風味な前述のM-07。ウッドベースが唸り、リムショットとギターのカッティングとスティールパンっぽいサンプリング音色が小気味良さを演出するM-09。速めのBPMで病んだ声と変質狂なギターカッティングがとぐろを巻くM-11。
――と、下手すると散漫になりかねない拡散ぶりを、主役のTRICKYが特有のセンスと病的なフロウで君臨することにより、びしっと締めている。その上で楽曲のクォリティも今までの最高次元で粒を揃えている。
コレが彼の傑作でしょう!
以後、この多様化とー、アメリカ生活がよっぽど肌に合ったのかー、えーとー、まー、あのー、んーと……。
M-01 Mellow
M-02 Singing The Blues
M-03 Broken Homes
M-04 6 Minutes
M-05 Analyze Me
M-06 The Moment I Feared
M-07 Talk To Me (Angels With Dirty Faces)
M-08 Carriage For Two
M-09 Demise
M-10 Tear Out My Eyes
M-11 Money Greedy
M-12 Record Companies
M-13 Time Slippin' (Bonus Track For Japan)
M-14 Peyote Sings (Bonus Track For Japan)
輸入盤はボートラM-13、14がないのはもちろん、M-11がオープニングトラックのM-01となり、以後一曲ずつずれていく謎仕様。
ただ単にレーベル側が、NIRVANAのアレのミキサー:アンディ・ウォレスを立てて発売したかっただけの模様。
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