NY地下音楽シーンの猛者:ウェイン・ホロウィッツ(Key)とボビー・プリヴァイト(Ds)が、シアトルのイカレサックス吹き・スケリックを誘い、そのスケリックが連れて来たデイヴ・パーマー(Melodica、Key)を加えて結成した四人組の二枚目。2000年作品。
日本の大手インディー・P-Vine Recordsからの正式リリース――ということはコレ同様、元々は自主制作盤。
スケさん関連というコトで、例の如く〝ジャズっぽい何か〟。
CD帯記載の叩き文〝PONGA Is Improvised,No Overdubs〟通り、プレイヤー同士が演奏中に抜き差しならぬせめぎ合いを繰り広げるジャム。ゆえにスタジオ音源とライヴ音源が混在しても、何ら違和感もない。
また、各プレイヤーの担当楽器は上記で固定。普段はピアノ演ったり鉄琴演ったり移り気なスケさんも、当プロジェクトではひたすらサックスを吹き散らしている。
他、プリヴァイトはジャズ畑らしいオフロードなビートを叩き出し、ホロウィッツはかの鍵盤プログレトリオばりの粘っこい音をひねり出し、パーマーは同パートのホロウィッツと競りつつも得意のメロディカでセピア色の雰囲気を醸し出したりもする。
この通り、今回は真剣と書いてマジだ。各々の目が血走っているくらいマジだ。
だが即興一本槍とは言え彼らは、内容のないセッションを意味付けるべく真剣面を貼り付けて、前衛ぶった溶解フレーズで演奏を引き伸ばすようなセコい連中ではない。
メンバー曰く、当プロジェクトは各々がDJ視点で生演奏を自己統制しているそうだ。
つまり、各自が気持ち良いと思ったフレーズを持ち寄り、各自の判断に任せてぶっ込んでいくスタイル、と考えて間違いない。
その象徴がM-04の終盤。スケリックのサックスが即興の末、明確にキャッチーなフレーズを曲調から剥離上等で選択している点に垣間見える。シンバルから火花が散るくらい激しいプリヴァイトのドラミングと対比させた、チンドン屋のような可笑しなフレーズを。
ただだらーっと音を反復させて気持ち良がってるのではない、指癖を逆手に取った攻めの姿勢、と例えるべきか。
こんな風に各自、アルバムの随所で反復の魔力に溺れず、持続の堕落に呑まれず、フレーズを揺らがせ、擦り込んでいく。ループ感などどこ吹く風で。
〝即興演奏〟と言うと取っ付きづらくて小難しい印象もあろうが、聴き手にとって気持ち良いコトを重要視した即興は分かりやすく、こんなにも楽しいよ、と理解出来る一枚。
そんな意味でも〝DJ視点〟だと思う。
M-01 Riviera
M-02 Psychological
M-03 Dental Melodica
M-04 Hagro
M-05 Nubile
M-06 Sabado Gigante
M-07 Show Me The Ponga
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