2013年8月18日日曜日

R + NAAAA 「R + Naaaa」


日本ビート学の権威・RIOW ARAIが五名の女性シンガーを迎えた歌モノアルバム。2009年四月発表。(コチラ同年十一月発表)
ユニット名は〝あーるぷらすなー〟と読む。

参加シンガーはNONPAREILLE(ノンパレイユ)こと平松奈保子ANNA YAMADA(山田杏奈)、スペイン帰りのAKANE DEL MAR、日独シューゲイザー同盟・GUITAR(注:ユニット名)AYAKO AKASHIBA(赤柴亜矢子)KARENACHICO。しんみり型あり、クール型あり、ウィスパーあり、オーソドックスありと、人選に多様性があり〝音色としての歌〟を意識していることが窺われる。
だからと両極端に、静謐トラックとガッツンガッツンアゲていくアッパートラックが同居している訳もなく、おおむねアルバムはチルアウト方向でしっとり進行してゆく。

ではRIOW ARAIのほぼ代名詞であるボトムラインはと言えば……相当シンプルに組んである。上モノも、流れに〝刺す〟のではなく、流れに〝沿って〟いる。歌モノだからシンガーを立てる、という前提もあるが、ツジコノリコとのRATN同様、彼の中で〝コレはコレ、アレはアレ〟と意識的に分けているよう見受けられる。
それが良く出ているのは、意外にもM-07。メイン活動の「Mind Edit」のラストに置かれ、作中で浮いていた〝Daybreak (I Dine At)〟の歌入り/ボトム打ち替えリメイクなのだが、NONPAREILLEの優しい声色も相俟って、元ネタでは寸足りなかった部分が埋まった好トラックに仕上げ直されている。
メイン活動のトラックを流用して、どこが〝コレはコレ、アレはアレ〟なの? なんて疑問もあろうが、荒っぽいビートのアルバムを心地良く締める意図を持って組んだチルアウトトラックを、チルアウト的構成のアルバムで再構築して何か問題でも? と返答したい。

いつものブロークンなビートを期待しては肩透かしを食らう内容だが、一皮剥けた「Rough Machine」以後の活動からして、一作品中でアレやコレやと音楽性を掻い摘んでも自分の作品の聴き手は付いて来てくれない、と判断したかのような一作毎での作風の統一感は、彼なりのレッテルの剥がし方と考えれば、作品へ素直に入っていけるはず。
そうなれば、学究肌でありながら常に自分の可能性を探求し続け、かつ冷静に自己分析が出来る、彼らしい作品だと気付くだろう。
ただ、外国語詩の拙い発音や、現時点でアルバム一枚歌い切らせるに至らない実力のシンガーも居る点が引っかかったり、そこまで気にする必要もなかったり。

M-01 ルーム4307 (NONPAREILLE)
M-02 クチカケトマト (ANNA YAMADA)
M-03 家 (ANNA YAMADA)
M-04 Volar -羽ばたき- (AKANE DEL MAR)
M-05 CRY4U (AYAKO AKASHIBA)
M-06 UNI-CO (ACHICO)
M-07 トーキョー (NONPAREILLE)
M-08 Ilusion Eficaz -価値ある幻想- (AKANE DEL MAR)
M-09 Aerial Line (ANNA YAMADA)
M-10 Ride On (AYAKO AKASHIBA)
M-11 Noche Del Aire -空気の夜- (AKANE DEL MAR)


0 件のコメント:

コメントを投稿