2013年8月26日月曜日

RED SNAPPER 「Key」


Warpな人力アブストラクト四人組の復活作。四枚目、2011年発表。
一応メジャーのV2 Beneluxより。

曲の運転手たるウッドベースのアリ・フレンド、タイトなビートをカマしてくるドラムのリッチ・サイアー、湿乾自在の音色(ねいろ)で彩を与えるギターのデイヴ・エイヤーズに、クラリネット/メロディカ/サックスを使い分ける便利屋のトム・チャレンジャーが加わった。
それによる変化は、特になし。今まで通りの多角的な人力アブストラクト。
強いて挙げれば、サイアーのビートパターンがちょっぴり複雑化したかなとか、若干ループを頼る傾向が出てきたかなとか。フレンドがウッドベースだけでなく、M-07のようにエレクトリックベースも弾くようになったとか。
――あ、本作からフレンドがちょくちょく歌うようになった!
最大の変化はコレかもしれないが、元々歌入り曲はアルバム構成のアクセントに過ぎないバンド。フレンドがRED SNAPPER解散後に組んだCLAYHILLより連れて来た渋い声のギャヴィン・クラーク(M-04、06)と、ハスキーな声色の女性ソロシンガー:イライザ・カーシー(M-03、08)も当たり前の顔をして流れに溶け込んでいる。
――いや、M-08はパワフルなビートとスペイシーなギターフレーズの上へカーシーおばさんの熱唱が被さる中、チャレンジャーがサックスでベッタベタな合いの手を入れるという、80年代の臭い漂うダサさ紙一重の強烈な曲が一際異彩を放っている。
ただ、今まで彼らはこのような妖しい変化球をアルバム毎にしれっと含ませてきた食えないバンド。この異色ぶりも計算の内だろう。

このように、いつも通りなようで、十年も経てばちっとは作風も変わるわな、と思わせといてやっぱり根っ子の部分はどっしり御柱、という安定性が魅力。
そんな中、今までゲストで賄ってきた金物系パートをチャレンジャーで固定出来たのは大きい。彼のフレーズワークは若干ベタな傾向はあるが、現時点で最良のピースかと思われる――バンド自体がアクの強さを売りにしている訳でもないし。
――じゃあ何を売りに、彼らは音楽を演っているのかって?
こんな演奏が手堅く巧くて、四人のアンサンブルも完璧で、しかもフロアを縦にも横にもロッキンさせられるバンドが、ふらっと立ち寄ったライヴハウスで演ってたらどうよ? カッコ良過ぎて、しっびれるぜー?

M-01 In Your Backs
M-02 Chimee
M-03 Biffa Bacon
M-04 Jack
M-05 Spiky
M-06 Architectronic
M-07 Take Your Medicine
M-08 Loveboat
M-09 Eye Liner Stab
M-10 Great First Touch
M-11 Racing Snake
M-12 Off Balance
M-13 Fat Roller
M-14 You Read My Cards Wrong


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