2011年4月26日火曜日

THE ALBUM LEAF 「Into The Blue Again」


マルチプレイヤー、ジミー・ラヴァールのソロプロジェクトの四枚目。2006年作品。

ラヴァールは何を隠そう、あの変態ショートカットマスコアバンドTHE LOCUSTのメンバーだった経歴を持つ。
以後、TRISTEZAを経てTHE ALBUM LEAFに至る、と。

こんな誠実で素直な作品を創る人が、イナゴマスク被ってピギャーピギャー喚きながら鍵盤を叩いていたなんて想像しただけでぞくぞくする。
「もうお前らにゃ付いていけねんだよ!」と、イナゴマスクを地面に叩きつけて辞めたのだろうか。「ジミー、お前だけなんだよ、アホになりきれてねーのは」とイナゴマスクを被ったイカレどもに肩を叩かれたのだろうか。
どちらにせよ、THE LOCUSTは相変わらずアホ激しい音を鳴らしているし、THE ALBUM LEAFも相変わらず顔で澄まして音で泣いているし、非常に健全な世の中だなあ、と。

本作は基本的にインストである。ところどころ音響工作を咬ませてあるので、ポストロックの範疇に収めてしっくりくる作風である。
ソロプロジェクトと謳っているだけあって、音源ではほとんどの楽器を彼が弾いている。ライヴでは、ちょこちょこ手を貸してくれたプレイヤーをバックメンバーに従えて、自らはキーボードを担当している。
ゆえにキーボードを軸にした音創りなのだが、お陰でことのほかエモい。鍵盤楽器というモノは素直に使うとこんなにもエモくなるのだなあ……としみじみきた時点でTHE ALBUM LEAFの術中にはまっているのだと気付かされてはっとするくらいエモい。
ラヴァールはヴァイオリンだけは弾けないらしく、専属で(ライヴも)参加しているマシュー・リゾヴィッチの鳴らす音も、脇役の分際でじわじわエモさを誘う。さりげなく、エモい。
M-02、M-04、M-08の三曲でラヴァール自身が歌っているのだが、声質自体がエモいので言わずもがなエモくなる。聴くだけで失恋したかのような気分に陥るくらいエモい。

あーもうエモエモしいっ! うじうじ切なくなるわ!

こういう後ろ向きの気持ちを、日本人は大切にしたがる人々なので、とっても日本向きの音楽であると断言しよう。生粋の日本人がそう語るのだから間違いない。
でも聴いていてブルーに陥いるような重さはなく、「さ、明日も生きていこうか!」と思える温もりが、やたらと現実逃避のように切り替え切り替えうるさい日本人にぴったりだと、生粋の日本人が薦める。
いつ聴いても枯葉が舞い落ちる秋になる、そんなエモさを貴方に。

蛇足ながら、本作は前作「In A Safe Place」(2004年)に続き、かのSub Pop Recordsからのリリース。まあ今更、Sub Popとグランジを直結させている方も居ないと思うので参考までに。

M-01 The Light
M-02 Always For You
M-03 Shine
M-04 Writings On The Wall
M-05 Red-Eye
M-06 See In You
M-07 Into The Sea
M-08 Wherever I Go
M-09 Wishful Thinking
M-10 Broken Arrow


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