2004年六月発表の九作目。当然、自家醸造。
ちょっぴりダサめの音色使いで繰り広げられる、ジャズファンク風味ブレイクビーツ。相変わらずの構成かと思いきや、前半でおおっ!? と目を見開かす。
M-05まで軽快なアッパー路線。それを曲間なしでぽんぽん切って行くので非常に小気味が良い。しかもM-03から04に跨って歌うPapa Vなるシンガーの揚げっぷりも巧みで、ついつい乗せられてしまう。
掴みはばっちり。
その後はいつもの路線。ここら辺は安定株の彼ららしく、手堅くカッコ良くて如何にもFILAちっくなトラックが脈々と連なっている。
かと思えばたまにクラブ栄えするノリの良いチューンを忍ばせて飽きさせない。
以前までは明るくなりきれない作風のFILAだったが、さりとて暗くもないんだぜ! とお澄まし顔でトラックを呈してくれるようになったのは大きい。
元からあえて捻らない、シンプルなビートを標榜していたユニット。このような路線に行き着くのは当然。それでもアメちゃんのような、あほあほパーティ狂路線まではっちゃけないところはやはり、英国人としての矜持であろう。
その一方で後半、M-13では本格的ジャズっぽさ剥き出しのトランペットとFILAサウンドの融合を試みたり。M-14ではアメちゃんラッパーのジンジー・ブラウン(ジャズサックス奏者、マリオン・ブラウンの息子らしい)を迎えての、締めに相応しいウェットなヒップホップ風トラックに挑戦したり。「まだまだ伸び代あるよ」と攻めの姿勢を崩さない。
それなのに次、同年九月の記念すべき十枚目が、結果的に最後のオリジナルリリースとなってしまった。
つくづく惜しい。もったいない。
M-01 Platinum Spider
M-02 Underpuppy
M-03 Bullshit
M-04 Existentialist Singalong
M-05 Blowhole
M-06 Thatched Neon
M-07 You Won't Let Me Rock
M-08 Boulangerie Digitale
M-09 Boca Raton
M-10 Bantamweight Werewolf
M-11 Madame Le Fevre
M-12 Romantic Adventure
M-13 Uberboff
M-14 In The Kingdom Of Sound
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