2012年11月24日土曜日

JAMIE LIDELL 「Muddlin Gear」


悲しいかな、これ以後と比べると些か地味な扱いのジェイミー兄貴ソロデビュー盤は2000年作品。本名、ジェイミー・アレクサンダー・リダーデイルって言うんだね!
Warpと、スクプなトムくん排出輩出したことで知られるSpymaniaの連名リリース。

いや、本作が地味なのも致し方ない。
はっきり申し上げて、二枚目以降の音を期待して、もしくは初作品だからまず、とお手に取られるのなら、筆者は顎をしゃくりつつ、『1stだけは、やめておけよ』と提言させていただく。
コイツは洒落にならない。この前後でブイブイ言わせていた、クリスチャン・ヴォーゲルとのユニット・SUPER_COLLIDERの方がよっぽどキャッチーだ。
大げさに書くと、当ブログ紹介で扱ったアルバム中、一・二を争うほどの難物かも。

まず、あまりに音像がブロークン過ぎる。
ぶつ切り気味の各種音色はメロディ度外視でひたすら拡散され、聴き手の脳内攪拌を常に狙っている。PVにもなったM-09がAVのパケ写詐欺的に浮いているのだから、相当。
ビートは意図的にふらつかせる。それどころかまともに拍を刻んでいないトラックもある。アルバム後半に至ってはドローンアンビエントまで溶解している。
現在の彼の代名詞、暑苦しいくらいソウルフルな歌声はこのエグい音像の犠牲者と化し、注目されづらくなっている。それどころかアルバムの半数以上はインストで、せっかくのストロングポイントをかなぐり捨てる暴挙に。

もしかして駄作? いや、怪作。当ブログは筆者が面白くないと感じた音源は扱いませぬゆえ。

このかっ飛ばした音像に慣れてくると、痛快! とまでは言わないが、どこから、どんな音が、どのように鳴って来るか予想出来ない、シュールな気持ち良さに駆られる。
また、リアルタイムで自らの声をサンプリングし、重ねる、彼お得意のライヴパフォーマンスを卓で再現したかのようなトラックもあり。むしろコレ、ダブステップの先取りじゃないのか? と思わせるトラックもあり。なぜか、Spymania繋がりでスクプなトムくんを髣髴とさせる音世界のトラックもあり。
それよりも何よりも、M-12が終わって数分のトラックギャップ後、素敵な独りアカペラで締めるやり口が気に入った。あくまでおまけっぽくすることで、あまりにえげつない本編との対比を鮮明にさせる解釈も出来るし、後にコレが以後の路線の複線なんだろうなと邪推することも出来る。

聴き所はいくらでもあるけど、それが即評価に繋がる訳ではない。この地味さは、暗黙の了解が働いているのかも知れない。
物事には順序ってモノがある。

M-01 The Entroscooper
M-02 Said Dram Scam
M-03 (Untitled)
M-04 Ill Shambata
M-05 La Scappin Rood
M-06 In Inphidelik
M-07 Silent Why
M-08 Da Doo Doo
M-09 Daddy's Car
M-10 Oo..o
M-11 The Cop It Suite
M-12 Droon_99
M-13 Daddy No Lie


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