2013年1月20日日曜日

RED SPAROWES 「The Fear Is Excruciating, But Therein Lies The Answer」


元ISIS:ブライアント・クリフォード・メイヤー率いるハードコア上がりのバンド、2010年・三枚目。中核メンバーだった当時NEUROSISのビジュアル担当(当バンドのパートはギター)が脱退し、女性ギタリスト:エマ・ルース・ランドル加入後初の作品。
レーベルはマネジメント事務所が経営するSargent House。録音技師はここ数年でめきめき頭角を現してきたトシ・カサイ

基本的に前作と音世界は変わらず。
ハードコアのエッジとポストロックの〝鳴り〟への拘りを併せ持つオールインスト音楽。壮大なスケールとダイナミックさが売りで、それに伴う強弱法での陰影の付け方が巧み。
ただしアルバムを編む行為は生もの。時と場所と人とその気分が違うのだから、まるっきり同じ音源が出来る訳がなく、本作も例外ではない。

前作は中共の〝大躍進政策〟を題材に(一枚目のお題目は〝種の絶滅〟)採ったが、本作は特に設けられていない。曲説明文タイトルの短さからもそれが出ている。
お陰か偶然か、本作は各曲だいたい六分から七分(一曲平均じゃないよ)、ランタイムにすると四十分台、とコンパクトにまとめている。長いと言えば長いが、壮大なスケール感が持ち味の彼らならもっと引き伸ばせるのに、この省エネ策。物足りないと感じるか、各曲に締りを齎していると取るか。
また録音技師の変更により音の粒子が整い、各音色の位置がクリアになった印象を受ける。もちろん前作の音質が劣悪だった訳ではない。荒さと生々しさを好むか、整頓された緻密さを好しとするかは聴き手それぞれ、というだけ。

実は彼ら、意図的なのかは分からないが、レコーディング技師だけでなくマスタリング技師までアルバム毎に替えてリリースを重ねていたりする。
もし『自分らの音世界は変えず、どう料理されるかを試している』などと考えてるとしたら、それはそれで彼らの音響への飽くなき拘りを表しているし、自らの音世界への強固な自信とも受け取れる。
さあ次は誰だ。面白いから畑違いの奴を連れて来いや!

Disc-1
M-01 Truth Arise
M-02 In Illusions Of Order
M-03 A Hail Of Bombs
M-04 Giving Birth To Imagined Saviors
M-05 A Swarm
M-06 In Every Mind
M-07 A Mutiny
M-08 As Each End Looms And Subsides
Disc-2 「Aphorisms EP」
M-01 We Left The Apes To Rot, But Find The Fang Still Grows Within
M-02 Error Has Turned Animals Into Men, And To Each The Fold Repeats
M-03 The Fear Is Excruciating, But Therein Lies The Answer

日本盤はランドル加入前に切られたLP/配信のみの音源「Aphorisms」(2008年)付の二枚組でお徳。それならもう一声、デイメアお得意のゲートフォールド紙ジャケ仕様に! 気が利かねえな!
もちろんこちらもトシ・カサイによる録音。


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