全手動ミニマル四人組、2006年の五枚目。
彼らが、長音を多角的に絡めていく雅楽風な音世界を確立したのが前作。あの時点の拙文ではあえて〝洋風雅楽〟と称したが、本作では更に斜め上の発展を遂げている。
前作までに用いてきたヴィオラ、アコギ、ウッドベース、チェレステなどの洋風楽器に、タイのケーン、インドのタンブーラ、北アフリカのゲンブリ、日本の尺八などの民族楽器を平然と混入し始めたのだ。
しかもM-06、07では最強の音色・人声を
その音色総数、二十四。
三作目までは爪弾かれた音色を紡いでいく手法が、前作で長音を折り重ねていくそれへの移行を画策し、本作ではそれを多種多様な楽器で実行していこう、となった訳だ。
ただしコレにより、何となーく引っ掛かる点が生まれてしまった。
単に難解化した。それだけ。
洋風楽器に各国の民俗楽器をエキゾティック要素目的ではなく、音色の多角化のみの理由で投入した。如何にもこの界隈の連中らしい妙案だと思う。
ただコレ、演り過ぎると輸入盤ラストのM-10や日本盤ラストのM-12のような、情報が錯綜して聴き手側がリラックス出来ない状態に陥るのだ。
こうなるともう、快楽原則に法って音を出しているのか疑わしくなる。
だがこの据わりの悪さと似たような方向性の音楽ジャンルもあったりする。
ずばり、ノイズミュージックだ。
〝ハーシュ〟と呼ばれる耳垢をすっ飛ばす破音が分散して襲って来る音像だと考えれば、不思議と難しく考えずに受け入れられるはず、ノイズ耐性があれば。
じ・つ・は、そこまで強烈な音像の曲ばかりでもなかったりする。前作の踏襲程度で、ドローンっぽくだらーっと聴き流せる曲だったり。M-09のようにほぼアコギ一本だけど三作目以前とは違う鳴らし方の曲だったりする。
脅かして申し訳ないが、割とハードルが高めのアルバムだと思うのであえて。
だからこそ、ありのままを受け入れる逆転の発想を。音楽なんざ、頭で考えて聴くだけ損なんだぜ!
M-01 Sun Trolley
M-02 Fields And Parks Of Easy Access
M-03 Phoney Fuckin' Mountain
M-04 Bee Call
M-05 Cloud Seeding
M-06 Blue Lotus Feet
M-07 King Of Portugal
M-08 Belle Isle
M-09 Almost At White Glass And Sun
M-10 Up Above
M-11 Sun Trolley Part 2 (Bonus Track For Japan)
M-12 Up Above The World (Bonus Track For Japan)
M-03 Phoney Fuckin' Mountain
M-04 Bee Call
M-05 Cloud Seeding
M-06 Blue Lotus Feet
M-07 King Of Portugal
M-08 Belle Isle
M-09 Almost At White Glass And Sun
M-10 Up Above
M-11 Sun Trolley Part 2 (Bonus Track For Japan)
M-12 Up Above The World (Bonus Track For Japan)
M-06はエルヴィスやジョージ・ハリスンも傾倒したヨガの導師:パラマハンサ・ヨガナンダの、M-07はポルトガルの賛美歌のカヴァー。
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