2013年3月16日土曜日

CHICAGO UNDERGROUND DUO 「In Praise Of Shadows」


ロブ・マズレク大将の加減算フリージャズプロジェクト、二人組では四枚目。2006年作。
例の場所で例のマッケンさんが録り、例のレーベルで発売。

このプロジェクトの面白いところは〝人員が減れば自由度が増す〟点にある。
普通は、人員が増える→楽器(音色)が増える→表現の幅が広がる→自由度が増す、とされているが、おそらく大将の発想は逆を行っている。
『(同時に鳴る)音数が切り詰められても、小回りが利くじゃない』と。
要は大将と、その相方:チャド・テイラーがフットワーク軽く動き回り、1+1を3にも4にも5にもしてしまえば解決するという話。

基本、大将=コルネット、テイラー=ドラムのパート構成だが、前作以上に各々の担当楽器数が多く、それだけでもフットワークの軽さを感じさせる。いやそれどころか、今まで以上に大将が、ユニットを睥睨する不動の主楽器に頓着していない。
実際、かの大正義金管楽器が鳴っているトラックはM-01、02、04、06と、10くらいなもの。むしろピアノを始めとした鍵盤楽器の含有率が高い。
テイラーの撥捌きが冴えるM-05など、今までならコルネットがフリーキーに吹き荒ぶところ、オルガンを砂塵の如く鳴らしてノイズ曲に仕立て上げている。M-03に至っては大将が傍観し、テイラー独りでムビラ(俗に言う〝親指ピアノ〟)と鐸と拍を取るためのバスドラムをこなす人力アンビエント風の曲も。
とは言え、鳴れば瞬時に耳を惹く、如何にも大将らしいコルネットのフレーズは健在。こうなると音の派手な金管楽器は強い。
だからこそエースに頼らず、他の音でも勝てるよう模索し始めたのかも知れない。

〝フリー〟ジャズだからこそ、いろいろ演ってみる。
ただしM-02の前半や07のように、切り詰めた音符を即興で置いて行く曲もあるので、聴きやすさは前作より減退したのも確か。
ゆえにオーソドックスなQUARTETORCHESTRAや、主音のはっきりした前作で耳慣らしをしてから、本作の聴き応えを試す方が良いかと。

M-01 Falling Awake
M-02 In Praise Of Shadows
M-03 The Glass House
M-04 Cities Without Citadels
M-05 Pangea
M-06 Funeral Of Dreams
M-07 The Light In Between
M-08 Stratus (Bonus Track For Japan)
M-09 Cumulus (Bonus Track For Japan)
M-10 Cirrus (Bonus Track For Japan)
M-11 Nimbus (Bonus Track For Japan)



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