2013年3月28日木曜日

EARTH 「A Bureaucratic Desire For Extra-Capsular Extraction」


アレの、地元シアトル・Sub Pop Recordsから出した1991年作デビューミニ(M-01~03)に、Blast Firstからの公式ライヴ盤(1995年作)がフィラデルフィアのNo Quarter再発された際のボートラで、件の初作と同時期録音のマテリアル(M-04~07)を付けて、リマスターやらジャケ新調やらを施し、アンちゃんのトコで出し直したブツ。2010年発表。
となるとジャケは、サイモン・フォウラーの描いた絵にオマやんのデザイン。

まずはCDトレー下にある卒業アルバム風の写真をご覧あれ。
まるで、左から:
キレると見境がないのでクラスで煙たがられているディラン・カールソン(G)。
気弱でカールソンの腰巾着化しているデイヴ・ハーウェル(Ba)。
『フヒヒ』という薄笑いが気持ち悪いナードのジョー・プレストン(Ba、Percussion)。
:と決め付けたくなるようなスクールカースト最下層の人々っぽい有様に、乾いた失笑を漏らしていた筆者。(あくまで写真からの連想よ?)
それにM-02と06では、斜に構えた態度が気に食わないジョックスらから始終イジメられているカート・コベイン(NIRVANA)と、アーティストかぶれな勘違いビッチのケリー・カナリー(当時DICKLESS)がゲストシンガーとして参加している。(あくまで想像だってばよ!?)

こんな、如何にも負け組臭のするダメーな連中によるダメーな音楽が、この頃芽吹き始めたグランジだった訳で。
そのグランジ連中は、意外と自分で何を演りたいのかはっきり頭に描けていなかったのも事実。そのダークサイドたるEARTHは逆で、演りたいヴィジョンが初作品にも関わらず早くも血肉と化していた。
その証明が本作だ。

彼、ディラン・カールソンのヴィジョンはただ一つ。『BLACK SABBATHばりにドヘヴィなギターリフをひたすら引きずり倒して、聴き手を鬱のどん底に落としたい!』
ビートはあるが、あくまで拍を刻むために便宜上敷いている程度。カールソンに強いられてプレストンが演る気なーく、手数も少なく単調な上にハンマービートとしても迫力不足で頻繁にモタるビートなど、大よそどうでも良い。二本あるはずのベースに至ってはすっかりフレーズに埋もれ、嵩増しする持続重低音と化している始末。
『俺にカッコ良いリフを弾かせろ。お前らは付いて来い』のジャイアニズム君臨。
それを男気と勘違いしたコベインの陰鬱な歌声は、この傲慢な音像になぜかとてもしっくりくる。それに相伴するカナリーのヒステリックな喚き声は逆に正直ウザい。
そんな二人が――いやメンバーの他二名すらおまけの圧倒的リフ無間地獄はもはや、大正義ですらある。思ったよりフィードバックでごまかさず、リフの単位も明確な上、これだけ聴かせどころがはっきりしているのだから、むしろ『音楽的で受け入れやすい』という予想だにしない意見も納得出来る。

次の怪傑作の耳慣らしとしてはこれ以上ない教材。加えて、時代を先駆けたオーパーツとしての価値も見い出せる、なにげに美味しい一枚。
ただし、特異な音楽性なのは疑いようもない事実なので、取り扱いには注意されたし。

M-01 A Bureaucratic Desire For Revenge Part 1
M-02 A Bureaucratic Desire For Revenge Part 2
M-03 Ouroboros Is Broken
M-04 Geometry Of Murder
M-05 German Dental Work
M-06 Divine And Bright
M-07 Dissolution I



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