2013年3月26日火曜日
LOCUST 「Morning Light」
SEEFEELのおともだち:マーク・ヴァン・ホーエンのソロユニット、1997年作・三枚目。
世界三大跳ね馬エンブレム会社(残り二つはココとココ)である、ベルギー発の老舗テクノレーベル:R&S Records傘下のApolloより。
音数を切り詰めたインスト中心の前作から打って変わり、巧い人から怪しい人まで総勢七名(ボートラを含めると九名)のシンガーを擁した歌モノ路線。加えて一つのトラックに用いられる音色数も増え、同じレーベルから発売しているのにメジャー感が増した。
肝心のトラック構成は、幽玄だがダビーとはちょっと違う、アンビエント風味のクリアな浮遊感が主。その浮遊感を強く醸し出すため、シンセ音にディレイをかけまくったり。むしろM-12のようにダブっぽくベースラインを燻らせてみたり。テープで水滴や鳥の鳴く声などの自然音を録り込み、ムジークコンクレートの手法を導入したり、と手段を選ばない。
しかも研き抜かれて艶やかな各音色は、生演奏と打ち込みの折衷。今となっては当たり前の手法なのだが、生演奏は生々し過ぎず、打ち込みは作り物臭過ぎず、あえてほど良いバランスを保つことで作中に統一感を生み出している。
その生演奏はほとんどホーエン自身が弾いているのだが、例えばM-07やM-08などの楽器を弾くゲストをお呼びした際には印象的な主音級フレーズを任せ、自身は一歩引いて陰に徹する奥床しさもある。もちろん各シンガーをお迎えしたトラックでも、歌至上で自身は脇から盛り立てる正攻法を取ってくれる。
――自分が主役のアルバムなのに。
この方、凄く良い人なんだろうなあ……と思わせる丁寧な創りと、行き届いた配慮と、懐の深さ――それが本作最大の売りである。
結果、本作はエレガントでポップに聴こえるはず。
ただそのオサレな聴きやすさの内側には、音を知り尽くした職人の飽くなきこだわりと向上心が隠されているのだ。
友人のSEEFEEL同様、このような〝主張はないが、主義はある〟静かなる気骨、カッコイイよなあ……。
M-01 Your Selfish Ways
M-02 Morning Light
M-03 Just Like You
M-04 I Am The Murderer
M-05 Jukebox Heart
M-06 Folie
M-07 One Way Or Another
M-08 No-one In The World
M-09 Clouds At My Feet
M-10 Summer Rain
M-11 Ancient Hometown
M-12 The Girl With The Fairytale Dream
M-13 Let Me Take You Back
M-14 Some Love Will Remain Unsaid
M-15 Shadow Play
M-16 On The Horizon
M-17 The Daydream Girl From Sealand (Bonus Track For Japan)
M-18 Touched On Every Side (Bonus Track For Japan)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿