2013年3月10日日曜日
DALEK 「From Filthy Tongue Of Gods And Griots」
レペゼンニュージャージー、MCのダイアレック、トラックメイカーのジ・オクトパス、ターンテーブリストのスティルからなるヒップホップトリオの、2002年作・二枚目。
言うまでもなくマイク・パットン将軍率いる変態音楽集合体、Ipecac Recordingsより。
ずっしりくるボトム、吹き荒ぶノイズストーム、ドスを利かせるラップ。その三点倒立を堅持する形で、DALEKは成り立っている。
ビートの音色を変えれば音が軽くなる。ノイズを捨てればオレらのアイデンティティに関わる。フロウのスタイルはオレそのものだから変える訳がない。
――頑固一徹、腕を組んで肩を怒らせる、そんな姿が見えるようだ。
ただし彼ら、思ったより偏狭ではない。
単調になりがちな作風を、焦点を絞ったままどう変化を付けていくか。そんな命題を常に自問自答している、音に真摯な連中だと思う。
そこであえて、流れを遡っていこう。
次の作品は些か凝り固まっていたように感じる。自らの軸を定めるべく、ノイズ、ノイズ、ノイズと全編に垂れ込めた挙句、変化に乏しくなってしまった。
そこで本作。実質初アルバム(5トラック・30分強しかない一枚目をミニ扱いする資料もある)だけあって、確立していないはずの表現軸に捉われず、比較的伸び伸びトラックを組んだ感もある。
M-06はド迫力の生ドラムソロをフィーチャーしたスキットなのだが、そこからブリーピーな各種ノイズを拡散させ、ノンビートでMCダイアレックのポエトリーディングを乗せていくM-07は何と、12分もの大曲。
M-09はシタールに加え、ブク(韓国の打楽器)とタブラ(この二つを叩いているのが、ジ・オクトパスの父でジャズドラマーのラヴィッシュ・モミン)を用いるアジアンテイスト仕様。
M-10などジ・オクトパスと第四のメンバー:ジョシュア・ブースを中心にバンドを組んだ、ストイックな爽やかさのあるラヴソング、なんて驚きの機軸も。
このように不動の軸を振り回しつつもいろいろ演り、今後の伏線を張っておいた方がアルバムを通して聴く我々の耳にも、彼らの音楽活動にも良いはず。
ゆえに筆者は、まず三枚目で耳を慣らしてから本作へ戻ることを薦める。
M-01 Spiritual Healing
M-02 Speak Volumes
M-03 ...From Mole Hills
M-04 Antichristo
M-05 Hold Tight
M-06 Heads
M-07 Block Smoke Rises
M-08 Trampled Brethren
M-09 Voices Of The Ether
M-10 Forever Close My Eyes
M-11 Classical Homicide
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