ドイツはハーメルン出身のウヴェ・ザーン、2000年六月発表の二作目。
同年一月にリリースされた一枚目はAUTECHREフォロワーのデジデジしいニカだったが、本作はM-02、05、07、09でアコギにクリスチャン・クレインを迎えた通り、メロディの立った生音折衷ニカを標榜している。
M-02は、そのアコギの爪弾きを一音ずつ割って左右交互に奏でたり、鼓膜を弾いたり、左から右に流したりとなかなか凝った、本作のリーダートラック。
また主音にチェンバロ(英名:ハープシコード)を用いた曲で始まって(M-01)、締める(M-09)、几帳面な法則性も重視したアルバム構成だ。
一方のボトムラインだが、抜けの良い空間処理が特徴的なブレイクビーツを敷いている。これが非常に小気味良く、機能的ですっきりした上モノ構成も相俟ってダビーに聴こえる。その刻み方も、シンプルさを求めている時はオーソドックスに、遊べる雰囲気なら崩し気味に組める、余裕を持った創り。
鼻に付く部分は、たまーに先人からの借り物っぽい音世界を感じることくらいか。そんな点が難癖に聞こえるほど、本作はトータルバランスの良い作品だと思う。
さすがマイスター魂のドイツ人。
そんなザーン氏、スプリットと編集盤を挿んだ2004年・三枚目で〝Good Bye Forever〟なるアルバム最後の曲を遺し、音楽活動を終了させている。
――いや、確定じゃないんだ! こうした彼を称える文を残せば、いづれ戻って来てくれるかも知れないんだ。
それに音源は記録(Record)なんだから、彼の遺した音楽(Record)は永久の時を刻めるんだ――と思ったら、音源は出してないだけなのな! 何だよもうっ!
M-01 Theme
M-02 Tides
M-03 Eleventh!
M-04 Tomorrow Morning
M-05 Seaside
M-06 A Secret
M-07 The Storm
M-08 Deauville
M-09 Epilogue
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