2013年5月22日水曜日

DALEK 「Abandoned Language」


ターンテーブリストのスティルが脱退。ラッパーのMCダイアレックとトラックメイカーのジ・オクトパスのデュオとなった四枚目、2007年作。
代わりのターンテーブリストは、大半のトラックでモーティヴが、M-03と10ではかのバトルDJチーム・THE X-ECUTIONERSの元メンバー:ロブ・スウィフトが手を貸している。準メンバーのジョシュア・ブースもちゃんと参加。
レーベルは引き続きパットン将軍のトコ

のっけのM-01から10分トラック。しかもその低音パートはキックでもベースラインでもなく、ブーーーーンと響き続ける重低ドローン――
相変わらずBの流儀をせせら笑う、DALEK独自のヒップホップ道が展開されている。
だがその一曲目から、聴き手はびっくりさせられること請け合い。
何と、今まで『俺たちの表現軸だ!』と言わんばかりに上モノとして垂れ込めてきた、エフェクターでぐしょぐしょに掻き乱すあのギターノイズを一切排してしまったのだ。お陰でジョシュア・ブースのパートが奪われ、本作では共同ソングライターのクレジットのみ。

無論それは彼らの今後を考えれば絶妙手だったと、声を大にして言いたい。

前作はちょっと意固地になってたんだろうと思う。
ヒップホップ界きっての異端児の名を以って肩を怒らせ、他のクルーが真似すらしないことをあえて演り、自己を確立したは良いが、足元を見ていなかった。
ギターを歪ませてフィードバックさせればノイズの一丁上がり! なんてそんな安易なモンじゃないのだよ、音の魑魅魍魎蠢くあの界隈は。

不穏な音色をシンセで選り、長音でひり出す演り方は明らかにドローンを意識している。M-05のような擦弦楽器で創る混沌とした音世界のインストも、スキット以上の効果を生んでいる。M-07のヴァースで調子っ外れでフリーキーなクラリネット(?)を挿す、突飛な音色使いも今まで見られなかった傾向だ。これまでとは乗せ方を変えた、ギターでひり出すハーシュノイズも、アルバム末尾(M-11)に置かれたとなると曰くありげだ。
一方、もう一つの懸念材料だった、MC一人によるフロウのマンネリ化は、マイメンを呼んで合いの手を付けさせたり、自身の声に過度の変格を加えたりと、試行錯誤している様子。それが成功しているかは聴き手各自の判断に委ねるとして(リリックが判明出来ないくらい、もこもことフィルターを被せて何の意味があるのだろうか?)、己と向き合うべく1MCを貫いているらしいので、その方向性を維持しつつもいろいろ手管を模索するのは良い傾向かと思う。

ジャンル問わず、こういう音に真摯な連中は作品毎にきっちり成長した姿を聴かせてくれるのでスルー出来ない。
もっとこんな努力が金銭で報われれば良いんだけどねえ。

M-01 Abandoned Language
M-02 Bricks Crumble
M-03 Paragraphs Relentless
M-04 Content To Play Villain
M-05 Lynch
M-06 Stagnant Waters
M-07 Starved For The Truth
M-08 Isolated State
M-09 Corrupt (Knuckle Up)
M-10 Tarnished
M-11 (Subversive Script)

日本盤は:
M-12 What I Knew Then
:を追加収録。DALEKらしさとはやや違う方向性の変態トラックだが、なかなか面白い出来なので、あえてこっちを買うのもありかと。


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