2011年8月18日木曜日
RIOW ARAI 「Mind Edit Syndicate」
2003年発表の編集盤。
内訳は1999年発表の三枚目「Mind Edit」から全曲(M-01~M-11)と、同時期にLPのみで発売された「Mind Syndicate」全十六曲から二曲削った(M-12~M-24)もの。
ランタイムが78:53なので、一枚に収めるために泣く泣く削ったのだろう。
日本のブレイクビーツ職人はDJ KRUSHしたりO.N.O.したり、侘び寂びの風情が音から滲み出ているが、彼も例に違わない。
お世辞にも良い機材を使っているとは思えない安い音色を巧く工夫して、効果的に聴かせる才に長けている。
彼の場合はそれが顕著で、音色の安さを逆手に取った攻撃的なトラックを得意としている。本質的な意味でパンキッシュなトラックメイカーである。
アルバムはほぼ、ビートとベースラインのみで進行する。上モノは様々な音色をぎたぎたにぶつ斬ったワンショットが絡むくらい。
単調か、と思えばとんでもない!
高度で開いたパラシュート並みに、予測出来ない揺らぎ方でトラックは進行していく。着地点を定めぬまま――地に下りた時点で曲は終いだ、と言わんばかりに。しかもその終いの地点にはきちんと×の印がついているのである。
全てが緻密に計算されているのに、そうは思わせない匠の業。音色の安さも良いカムフラージュとなっているのだろう。
ただし! M-11を聴けば納得していただける方も居るかと思われるが、残念ながら(この時点で)彼はメロディを書くセンスに欠けている。
「Mind Edit」部分唯一のメロディ主導トラックだが、浮いているどころかありきたりすぎて“RIOW ARAIの組んだメロディアストラック”の意味さえ見出せない。
ただし! 彼の組むボトムラインは圧倒的に強力だ。
これでは長所特化のビートモンスターとして進むレールを敷かれたようなもの。今後、彼がどう成長するのかは彼次第、といったところか、この時点で。
(近作も後々書くよ)
M-01 Intro
M-02 Undulation
M-03 Inter
M-04 Disturbance (Re-edit)
M-05 Gyrate
M-06 Hyp
M-07 Gold
M-08 Flatter
M-09 Break_Roads (Re-edit)
M-10 Trillion
M-11 Daybreak (I Dine At)
M-12 X-Rated
M-13 55
M-14 Utopia
M-15 Tide
M-16 Groo
M-17 Hint
M-18 Forest
M-19 Ep4
M-20 Madd
M-21 Solitude
M-22 Ssk
M-23 Stoic
M-24 Bridge
「Mind Syndicate」についてほとんど触れずに文を締めちゃったけど、「Mind Edit」よりも硬軟使い分けた多彩な音色使いが楽しめる、元々アナログ限定発売だったとは思えない好内容だよー。
特に筆者は白土三平の世界観ずっぱまりのM-18が大好きだー。勝手に当アルバムのリーダートラックだと思ってるよー。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿