P・ウッドなる人物による三枚目、2007年作品。
Skam Records産、というコトで相変わらずの匿名性。どうせ内容もチープなんだろ、と思われがちだが然にあらず。意外ときっちり創られた音世界を提供してくれる。
何でも、とある有名なアーティストの変名とかいう、ウ・ワ・サ。
その噂元の人物をぷんぷん臭わせるアシッド臭さやドリルンベースを披露してくれたと思えば、M-05からM-06の流れのようにどこぞの二人組が繰り出すバッキバキなテクスチャーのトラックもあったりと、音楽的焦点をぼかすのに余念がない。
『誰ぞの変名』という噂が立つのも、見知らぬ誰かが創ったにしてはあまりに緻密でこなれているからであろう。まあ、そういうコトにしておこう。
本人たちが明言していない以上、そこら辺を突付かないのが不文律。
ただ、成熟度や完成度は高くとも、大衆性――噂元の人物たちにあるような、突き抜けた分かりやすさ――に欠ける点は否定しない。あと、オリジナリティに欠けるという難癖も。
かと言って際立って難解でもない。割とメロディの立ったトラックもあるので、始終首を横に傾げて聴くようなアルバムでもない。
もしかして一か八かどちらに振り切れれば、ほぼ同時期に出た某ユニットのようにその正体を騒がれたりしたかも知れない。
そろそろ音楽的方向性も落ち着く三枚目。レーベルが自己顕示欲の欠けらもないSkam。そつのない創り、と地味な要素てんこ盛りなので致し方ないのか、話題性皆無。
でも筆者はこのようなヌルさを適温だと思って浸かるタイプの聴き手である。ココとか、ソコとかアソコとかばっちこーい!
ゆえに、やはり正体を想像しつつにやにやして聴くのが本作の、一番美味しい召し上がり方なのやも知れない。噂元に憧れて音楽を始め、これまでこつこつと音源を積み重ねてきた単なるあんちゃんかも知れないのにねえ。
M-01 Spirit Of Man
M-02 Woden's Phallus
M-03 Time Cycle
M-04 The Archaic Revival
M-05 Paradigm Shift
M-06 Mindworm
M-07 H.A.A.R.P.
M-08 Shape Shifter
M-09 Sex Myself
M-10 Traits
M-11 Tesla AC/ID
M-12 9
M-13 Wordless Aeon
M-14 RV Human++
M-15 Battle Bots
M-16 Romanticism
M-17 Cartoon Dreamz
M-18 Games People Play
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