2012年2月22日水曜日
PORTISHEAD 「Roseland NYC Live」
二枚目の翌年、1998年十一月リリースのライヴ盤。
録音自体は1997年の七月で、九月に控える二枚目のお披露目ライヴのような位置付けか。また〝Roseland NYC〟と銘打たれてはいるが、M-09は1998年四月・サンフランシスコの、M-10は1998年七月・ノルウェイのライヴより用いられている。
ココ、重要。
さてジャケをご覧の通り本作は、いつもの三人と常連サポートメンバーに加えて、オーケストラとの競演盤となっている(M-09、10を除く)。陰鬱な彼らの音世界が荘厳に表現されているというだけで本作は特筆すべきアルバムであろう。
ただ、アルバム通りのアレンジにサンプリングにはない生々しい音色が加わっただけなのが現実。過度の期待は無用だが、良い効果は生まれているのが救い。
加えて、残念ながら本作のハイライトはNY録音の方ではないのも事実。
大幅なアレンジを施し、人間不信の極みである歌詞のM-09を咽び泣くように歌うベス・ギボンズさん(当時三十三歳)。原曲にはない畳み掛けるような終盤の高まりに、喉も嗄れよと慟哭する彼女の危うさが垣間見られる名演。
そこからまるで連動しているかのような、息遣いまで切ない彼女の感情移入ぶりに観客の合いの手拍手も暖かく聴こえるM-10。曲が進むにつれ、もうこの人感極まって歌える情況じゃないだろと思わせるほどトーンがふらつく歌唱に、聴き手もぐっと来ること受け合い。
PORTISHEADの(と言うかギボンズの危うい)魅力が本題とピントの外れた部分で発揮されているのは残念だが、コレならわざわざ差し替えたくもなろう。
何せ音源は判断材料が音しかないのだから。
おまけに、レコードを意識してアルバムを前半(M-01からM-06)と後半(M-07からM-11)に分け、構成している。分かっているなあ、後ろの二人は。
M-01 Humming
M-02 Cowboys
M-03 All Mine
M-04 Mysterons
M-05 Only You
M-06 Half Day Closing
M-07 Over
M-08 Glory Box
M-09 Sour Times
M-10 Roads
M-11 Strangers
本作は同時にVHSで映像作品もリリースされている。〝Sour Times〟と〝Roads〟は公演通り、1997年NYCのモノが使われている模様。当たり前か。
なお、2001年にDVD化再発の際、ショートフィルム三本とPV五曲が追加収録された。
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