2012年9月22日土曜日

CLARK 「Fantasm Planes」


本チャンのアルバムと同年の2012年、たった五ヶ月のスパンで切られたミニアルバム。
ミニアルバムゆえに、ランタイムが日本盤のみのボートラを含めても20分弱しかないのであしからず。もともと大曲志向のない人なのに、「短い」とか文句言われてもねー。
ジャケは引き続きジュリアン・ハウス。

まずは小気味の良いフルートの音色から始まる、新曲のM-01がエグい。
上モノは前作通りの妖しさなのだが、ビートがそれ以上。
拍を三で打ったり、四でブレイクビーツを刻んでみたり。普通に四でキックを打ったかと思えば、するりと三に移行させたり。上モノの音色の組み合わせの変化に応じてその彩を巧みに〝破綻もなく破綻させていく〟躁鬱症仕立て。
M-02は前作冒頭のアコギの調べと、マルティナ・トプリー・バードの声を流用したトラック。コレもビート感覚がイカレてる。まるでけんけんぱをしているような……。
そのマルティナ姐さんの歌声をフィーチャーした、前作〝Secret〟の再構築曲M-05では、姐さんの歌声のピッチを下げ、低く、より妖しく生成する一方、安定しないビートと薄ら怖い音色使いでえげつないトラックに変貌している。

ココらで聴き手はそろそろ気付くはず。
前作唯一の難癖である〝BOARDS OF CANADA風味〟がもはや、ない。
前作、モロにBOC色が出てしまったアンビエントトラックでも、M-04に至っては不穏な音色を淡く、幾重にも重ね塗りして、CLARK色とまではいかないが全く出所が判明出来ない代物に仕上げてしまっている。
M-06も(ボートラのM-07も)アンビエントなのだが、こればかりはどうしようもないBOCテイストに、ちょっと一捻りを加えて着地点を異にしている。
特に、今回も日本盤ではアンビエントを連ねる、尻すぼみになりかねん暴挙をまたしでかしているが、「ローズマリーの赤ちゃん」を思わせる、無邪気なまでの強烈な妖しさから余韻は最悪。嫌な中毒性を抱かせて締める。

フルアルバムの後にリリースして内容を補完する音源は数あれど、ココまで力を入れて手を加えたケースもそうそうあるまい。
ぜひぜひ「Iradelphic」とセットに。単体では意味を成さないとは言わないが、どうせ次では全く違うアプローチを取りやがるはずだし、両方聴き込んでこそのモノだと思う。

M-01 Fantasm Planes
M-02 Henderson Swooping
M-03 Com Re-Touch / Pocket For Jack
M-04 Brigitte
M-05 Secret Slow Show
M-06 Dove In Flames
M-07 Russian Dust Hoarder (Bonus Track For Japan)


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