2012年9月16日日曜日

YUKO 「For Times When Ears Are Sore」


ベルギー中部・ヘント出身の四人組、2008年デビュー作。
ジャケのアートワークはデイヴィッド・フォルドヴァリ。この他にもコレとかコレとか手掛けている、イカした絵師だ。

音世界を一口で表わせば『エモコアを通過したポストロック』。
凄腕の女性ドラマー、と触れ込みのカレン・ウィリアムスをやたらとフィーチャーする販促の叩き文が引っ掛からなくもないが、このバンドを支えているのは明らかに、全作曲を手掛け、ヴォーカル、ギター、バンジョーなどの美味しいパートを独占しているクリストフ・デニス(Kristof Deneijs)であろう。
自身の、部屋の隅っこで体育座りをして呟いているようなめそめそヴォイスを軸に、各楽器の音の隙間を利用して丁寧に紡ぎ上げる手法。多彩な装飾音のさり気ない噛ませ方に高いセンスを感じる。
その細工はドラムのカレン嬢が担っている部分も大きく、スネアの細かいフィルイン、裏打ちの多用、シンバルパターンの引き出しの多さなど、なかなかどうして巧みな撥捌きを披露している。ビート感覚からしてジャズ畑のコやも知れない。

ただし! エモコアという類型が跋扈するシーンより派生した連中ゆえ、加えてまだデビュー作ゆえ、借り物っぽい部分もなきにしもあらず。
お里が知れるイントロの立ち上げ方、エモコアっぽさ全開の逆切れ的激情パート、MOGWAI様々の轟音使いなど、苦々しい笑みがこぼれてくる部分は……エモコアユーザーには受けるかもしれないが、そこに保険を作っておくべきではなかろう、と筆者はぴしゃり。

とはいえリリース枚数が解決してくれる問題だと思うので、単なる難癖に留めておこう。
出来自体、初作品としてはそつな(く良)いので大化けはしなさそうだが、日本人にとって聴き馴染みのあるバンド名だし、覚えておきたいところ。
もしかして後、音響職人のような成長を遂げているやも知れないよ!

M-01 For Times When Ears Are Sore
M-02 There’s A Light
M-03 No Trees Up Here
M-04 I Don't Know What I Want But I Do Know It Won't Come From You
M-05 Feuchtt cher
M-06 No One Here To Hug
M-07 A Room For Two
M-08 Nurse The Child Within Me
M-09 Don't Drag Dogs Into Bed, They Carry Diseases
M-10 Hurry, Back To The Meal Mobile
M-11 She Thought She Could Make Us Come


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