オーストラリアはシドニー出身、リチャードとローレンスのパイク兄弟に加え、同国パース出身のデイヴ・ミラーからなる技巧派トリオの二枚目。2008年作。
Warp Recordsは彼らと十六枚ものアルバム契約を交わしている。すげー。
音世界はローレンスの方が叩き出す輪郭のはっきりした強烈なビートへ、キーボード、ギター、ベース、パーカッションなどの演奏と、主にミラーが生成する打ち込みやグリッチを和えるポストロック。
ただし、まだ二枚目ともあって借り物っぽい雰囲気もなきにしもあらず。
具体的に挙げれば、M-05の反復ギターワークはBATTLESを思わせるし、M-08ではもろにTORTOISEっぽさのあるフレーズが顔を覗かせている。
まあそんな部分は単なる難癖であって、時間が解決してくれるモノだというコトは当ブログでさんざん語ってきた訳で、これ以上論うつもりはない。
なら将来性は買うが、まだ未完の大器なのか? と問われれば、まだまだ伸び代が見える上にセンスがずば抜けている! と筆者は答える。
何よりも音色の使い方が出色。
どれもこれも耳を惹く気持ち良さ。ちょっとダサかったり荒かったりしても、それが美味くスパイスとなるくらいに。
しかも、こじんまりと収まらない。弾ける時はM-03やM-10のように音割れも辞さず、がつんとかます。閉める/締めるべき時はM-11のようにそっとカーテンを下ろす。
この振り幅の大きさが、本作をドラマチックに感じさせる要因か。
そんな気持ち良い音を知り尽くしているかのような小癪な用い方をする本作のプロデューサーは、メンバーのリチャードの方。地元シドニーのスタジオ二ヶ所で録ったようだ。
ではこの気持ち良い音どもを巧く編んでテクスチャー化したのは――つまり本作のミキサーは、やはり〝マッケンさん〟ことジョン・マッケンタイア。もちろん作業は例のトコ。
正になるようにしてなった編成。
M-01 October
M-02 In The Blood
M-03 O Soundtrack My Heart
M-04 Fool In Rain
M-05 Sing, You Sinners
M-06 Sweet Memory
M-07 Love Like I
M-08 Didn't I Furious
M-09 Epsilon
M-10 Nothing Hurts Machine
M-11 My Heart Like Marching Band
M-12 Epsilon Beta (Bonus Track For Japan)
M-13 Blood Red Rise Dawn (Bonus Track For Japan)
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