2012年9月18日火曜日

RIOW ARAI 「Number Nine」


タイトル通り、九作目。2009年作品。

思えばココまでよく洗練されたなあ、というのが第一印象。
構成はいつものアタックの強いボトムにワンショットの上モノメイン。ところどころビットレートの低い音色を用いているが、ただ単にその音が欲しいだけで、低スペックに喘ぎながら創っている節もない。ココら辺のぶれなさは流石だ。
ただ、以前よりも音を左右にパンしまくるような卓加工頻度が減った。初期、「訳が分からない」と揶揄された特有のブロークン過ぎるビートがややマイルドになった。

それらよりも、メロディの使い方がいつの間にか、平然と、達者になったのが大きい。

Jazzirafiなるエレガントな歌唱の女性シンガーを起用したM-05と、そのほぼ対になるM-10などその最たる例。上モノループのまばゆさに加え、それとビートの間に潜り込ませたさり気なく甘いベースラインなど、無骨なトラックを好んで組んでいた頃とは聴き違えんばかりだ。
恒例のメロディアストラックで締めるM-11も、お約束に堕せず、違和感も抱かせない。
その一方で、卓でDJバトルをするかのようなM-04など以前の彼らしいトラックなのだが、これが何と九分越えの長尺曲! となると話が違ってくる。しかも、それを頭か終いの背景色を揺らがせて時間稼ぎするようなせこい真似などせず、いつでも締められる雰囲気を醸し出しておいて、真っ向からぐいぐい乗り切ってしまうのだから恐れ入る。
また、ケーハクなフロウが持ち味(!?)のラッパー、ノーキャンドゥー参加のM-03とM-08にも、こちらから迎え撃てるほどの余裕を感じる。

要は音に自信に満ち溢れている。

一枚一枚、音源を出すことでデータを蓄積し、次へ次へと反映させてきた、超が付くほどの堅実派である彼も、そろそろメインストリームに殴り込みをかける時期なのかなあ、自覚し始めたのかなあ、なんて思ったりもした。
だがそれが良いのかどうかも分からない。このままデータを取り続けて向かう先に何があるのかも分からない。
サイコロを振れば振るほど、出目が均一化されていくような状況なのかなあ、なんて偉そうなコトを考えてみたりもした。

M-01 Intro.
M-02 Status
M-03 Meet Me In Ebisu (featuring Nocando)
M-04 World Wide Wave
M-05 Electricity (featuring Jazziraffi)
M-06 Sweet Tweet
M-07 Funkenstein
M-08 Open Eyed Dreams (featuring Nocando)
M-09 Social Pressure
M-10 Remember Me (featuring Jazziraffi)
M-11 Moonlight


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