2012年12月30日日曜日

BIBIO 「The Apple And The Tooth」


ステファン・ウィルキンソン、2009年リリースラッシュの掉尾を飾る編集盤。
アートワークは彼自身によるもの。

M-01から04までは未発表曲――いや、新曲。このクォリティをアウトテイクにするなんてバチが当たる! くらいイカした四曲。
曲調の路線は当然、「Ambivalence Avenue」と同系統。生音とブレイクビーツの素朴な絡み。ただしM-04はかなりデジデジしい加工が施されており、以降の作風の方向性を示唆している――なんて後出しの深読みも可能。
筆者としてはM-03の、ひたすら安定しない拍を挟むワイヤーブラシが気になって仕方がない。

M-05からはリミックス。CLARKが原曲をほぼ無視して「Totems Flare」路線の落ち着きないキックでかっ飛ばし、前述のデジデジしい締め方を巧く引き継ぐ幕開け。自身のラップ風声ネタまで挿入しているくらいだから、大・大・大好きなビビ夫たんのため、彼なりに相当気合入っていると思われる。おおきもいきもい。
とは言え、こんなはちゃめちゃリミックスを渡す鉄面皮はコイツだけ。後はきちっと原曲の良さを自分なりに翻案する空気を読んだ仕様。人選は地味だが、後にNinja Tuneで花開く紆余曲折の男・ESKMOなど、今後のニカシーンを担う面子を揃えたと思う。
中でも個人的に注目したいのがM-09、フィンランド出身のクウッカ兄弟。「Ambivalence~」でも一・二を争う叙情的なトラックを、自身らの弾く楽器と絡めて感傷的に仕上げる長所特化の好リミックス。
それに負けじとウィルキンソン自身のM-12も、寂寥感溢るる弾き語り風の原曲よりも音色を増やして更に目頭を熱くさせるメロメロ改変。
コレでアルバムを締めるのはずるい!

この通り、企画盤だからと侮れない一枚。「Ambivalence~」だけしか聴いていないのならコレも是非。
リミックス盤って良いよね。視野が広がる気がするよ。

M-01 The Apple And The Tooth
M-02 Rotten Rudd
M-03 Bones & Skulls
M-04 Steal The Lamp
M-05 S'vive (Clark Remix)
M-06 Sugarette (Wax Stag Remix)
M-07 Dwrcan (Eskmo Remix)
M-08 Lovers' Carvings (Letherette Remix)
M-09 Haikuesque (The Gentleman Losers' Whispers In...mix)
M-10 All The Flowers (Lone Remix)
M-11 Fire Ant (Keaver & Brause Remix)
M-12 Palm Of Your Wave (Bibio Remix)


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