2012年12月6日木曜日

BILL DIXON with EXPLODING STAR ORCHESTRA 「Bill Dixon With Exploding Star Orchestra」


毎度お馴染みジャズ大将:ロブ・マズレクが統べるフリージャズ楽団と、60年代〝ジャズの十月革命〟を主催したフリージャズ発展の功労者:ビル・ディクソン、奇跡の邂逅。
Thrill Jockey産、2008年作。
今回、マッケンさん(録音と木琴)は不在。よって録音はSOMAではなく、スティーヴ・アルビニ所有のElectrical Audioで行われた。(当然、アルビニは本作に関与していない。意外とマッチしそうなんだけど)

大将が敬愛するディクソンを招いたことで、本作は彼の彩が強くなった。それはもう、一曲まるまる統括をお願いし、それをM-01、03と二分割して大将自身が仕切るトラック:M-02へ挟み込むくらいの熱い暑いリスペクトぶり。
よって焦点を絞り、ディクソンのトランペットと大将のコルネットが共闘する場面を際立たせた創りとなっている――前作は総勢十四名のプレイヤー各自が弾けられるよう、見せ場を均等に与えられていたのが。
まあそれは致し方ない。
かと言って主賓がでしゃばって他楽団員を奴隷化する、幼稚な創りな訳でもない。総員各自、奥に引っ込まずに脇から盛り立てる、美しい接待ぶり。
それに応えてM-02など、ディクソン翁(当時八十二歳)が渾身のブロウをかましており『おいジジイ、大丈夫か!? 』と手の汗握る熱量も有している。この楽団ならではの、全プレイヤーが秩序を持って一斉に音を激発(Exploding)させるパートも然り。

それにしても、偶発要素の高いフリージャズでよくもまあこれだけ大人数の、しかも個性の際立ったプレイヤーを統括出来るもんだ、と感心させられる。
だからこそ卓加工の匙加減が決め手――
と思いきや! 本作、オーヴァーダブなしの一発録りだそうな。すげえ! (ますますアルビニに録らせて欲しかった!)

M-01 Entrances / One
M-02 Constellations For Innerlight Projections (For Bill Dixon)
M-03 Entrances / Two


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