2013年2月16日土曜日

FRIDGE 「The Sun」


前作から六年ぶりの2007年、FOUR TETADEMの中の人と、このブランク中に何と本腰を入れて大学研究員をやっていた人による五枚目。
欧州はDomino、米国はTemporary Residence Limitedからのリリース。

ジャムセッションから本作の音世界を固めていっただけあって、ややロウな創りが魅力。
のっけからサム・ジェファーズ研究員のドラムがどっかんどっかん鳴り響く。そこへ主にギターのキエラン・ヘブデンと、主にベースのアーデム・イルハンが好き勝手な楽器を用いて不可思議な音色を乗せていくのが基本線だ。
いや、オーソドックスなギター+ベース+ドラムへ、他の音色を重ねていくパターンだって多い――なんて書いてしまっては、結局は何が何だか分からなくなる。

要は彼らにとって、ギターもベースも単なる一音色でしかない。音色が多い方が音世界が豊かになる。ビートを毎回ボトムに敷く決め事だって要らない。
ならせめて、メンバー各々の担当楽器くらいクレジットして欲しかった――が、結局はそれらも一音色でしかないので、彼らにとって大よそどうでも良いのかも知れないと思うと、後は聴き手側で判断するしかない。

だからと言って、いちいち鳴ってる音を把握しながら聴くよりも、ぽけーっと音に身を委ねていた方が気持ち良い音楽なのだから、堅っ苦しいコトは抜き!

逆回転で雨粒が軒へと上っていくような背景音の中、二本分のアコギが爪弾かれるM-04や、フリーキーなクラリネット(?)以上にフリーキーなドラムを、ミニマルなアコギの調べが整えるM-08など、誰が何を鳴らしているかなどどうでも良い。
叙情的なギターフレーズへベースとドラムが随伴し、徐々に昂ぶらせていくオーソドックスな曲調の中、ついにハミング三重唱という形で自らの歌声を音色化したM-09で約一名、音痴が居ようとどうでも良い。
音楽は〝聴いて楽しむ〟より、〝聴いて感じる〟モノだ、少なくとも筆者は

M-01 The Sun
M-02 Clocks
M-03 Our Place In This
M-04 Drums Of Life
M-05 Eyelids
M-06 Oram
M-07 Comets
M-08 Insects
M-09 Lost Time
M-10 Years And Years And Years...


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