2013年2月22日金曜日

SLEEP 「Dopesmoker」


カリフォルニア発・伝説の超弩級ストーナー/スラッジトリオ、すったもんだの末の解散後に発表された三枚目(1999年)を改題して完全補完した2003年作。
2012年にジャケ+ボートラを差し替えて、リマスターを施し、グレッグあんちゃんが経営する例のSouthern Lordで再発された。
双方共にアートワークはアリク・ローパー。どっちもカッコイイぞ!

一曲、63分34秒+ボートラライヴの11分35秒。原本の「Jerusalem」でさえ不粋にもトラックを六分割しているが52分08秒。正に超弩級の内容だ。
案の定、MELVINSのアレに強く影響を受けているという。(向こうはインディーだからこそ出来たのに、コレをメジャーで堂々とやろうとするその神経がオカシイ)
ならば、ジャムセッションでたらーんと時間稼ぎをして何とか一時間を乗り切るセコい長尺曲なはずがない。もしそうなら、筆者のこの銀盤が即座にフリスビーと化している。
ではお手本のように、焦らしテクの如き引き伸ばしと、カヴァーメドレーを挿むくらいの謎展開と、シュールな踏み台外しで凌いでいる訳でもない。
ではどうやって?

本作はほぼワンリフ進行だ。
暗黒系コワモテ音響技師:ビリー・アンダーソンの仕立てる一枚膜が張られたような音像の中、マット・パイク(現HIGH ON FIRE)のレスポールがド分厚いリフを延々と引きずり出し、先導する。それをクリス・ハキアス(元OMなど)のドラムが支え、アル・シスネロス(現OMなど)のリッケンバッカーが付かず離れず侍りつつ、例の無調な歌声を咆哮して被せる。
見るからに単調で、明らかに一時間持たなそうだが、そこにさまざまな工夫が。
まずはハキアスの歪なのに統制の取れた、奇妙なビート構成。スネアが例えば十六小節、ほとんど同じパターンを刻まないオフロードぶり。その一方でシンバルパターンがほぼ一定の四つ打ち。金物系が拍としてのミニマル感を醸し出し、スネアやタムが蠢くことでボトムとしての役割だけでなく、ギター、ベースに続く第三の音色としての参陣を強くアピールしている。
次にシスネロスのベース。コレもフレーズワークがかなりオフロード。本来、主音のギターを盛り立てる低音堅持のパートなのだが、隙あらばフレット上で手心を加えてフレーズを燻らせたがる。果てには、曲中に三度あるギターソロの二回目でギターの低音をカットし、その低音を自らが幅を利かせることで反旗を翻すような真似も。
この二つの、役割はきちんと果たしているが如何にも御し難いパートに翻弄され、パイクのギターが不甲斐ない音を出しているのかと言えば、そうではない。音の隊長として、悠然と猛々しいフレーズを反復させる。単調になりがちなリフワークを、ループの魔力だけに逃げず、力技と引技を巧く使い分けて連ねる様は司令塔に相応しい。『俺に付いて来い』と言わんばかりの男気さえ感じる。

こうしてたった三つの音が作用と反作用を繰り返すことで曲にフックを与え、引いては曲展開の起伏を生むのだ。

この通り、本作は録音中、絶対にドンギマっていただろうがどこまでもストイックで、雄々しく、熱い。小手先の衒いや、斜に構えた気取りなど一切ない。
正に全身全霊、真っ向勝負。
そんなテンションも、40分あたりで見せる静かな引き際を経てほどなく、再び立ち上がる力を以って頂点を迎える。それを終いまで弛ませることなく、それどころか増幅させ、血走った目つきで大団円へと――

いやはや、筆者の拙文程度でこのアルバムの素晴らしさが伝わったかどうか疑問だ。
ヘヴィミュージックに耐性があるのなら、是非この熱さを鼓膜から全身に伝え、自ら感じ取って欲しい。

M-01 Dopesmoker
M-02 Holy Mountain (Live)

オリジナル盤はM-02が〝Sonic Titan (Live)〟だった。スタジオ録音版がない、コレが初出の未発表曲だ。(再発盤の方のM-02は二枚目収録曲)
日本盤はそれを加えた二曲のライヴ音源を本編と切り離した、二枚組仕様+特別装丁となっている。ま、二倍の金を取ってる訳ですから、このくらいは。


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