2013年6月28日金曜日

GODFLESH 「Songs Of Love And Hate」


異ジャンルを取り込んで、地下ヘヴィ音楽界を隅から隅まで闊歩する才人:ジャスティン・ブロードリック(Gu)と、G・C・グリーン(Ba)によるユニット、1996年作の四枚目。
――に、翌1997年発表のリミックス盤「Love And Hate In Dub」と、2001年発表のPV集「In All Languages」を付けたお徳盤。2009年リリース。
90年代、エクストリーム音楽界で暴虐の限りを尽くした、英国はノッティンガムのEarache Recordsより。

背骨をノミで彫るようなベースと、金ヤスリで削り散らかすようなギターへ、あえてボトムをドラムマシーンで固定して繰り広げる重苦しいミッドテンポが彼ら本来の持ち味。
ただそれ一辺倒でもないのが、曲者のブロードリック面目躍如といったところ。ギターのフレーズも局所音楽らしい硬質のリフだけに頼らず、今となっては二手も三手も先を行っている、シューゲイザー的な拡散性の高いフィードバックノイズを織り込んだり。自身の歌も、局所音楽らしい怒号だけでなく、ゆらゆらたゆたう陰鬱な声色を使い分けたり。人力至上のメタルやハードコアでは異端の打ち込みを、ビートだけでなく装飾音としても効果的に用いたり。
さまざまなアイデアを柔軟に盛り込む先進性が最大の長所だ。

本作はそんな彼らのターニングポイント。
何と、遂に人力のドラマーを加入させたのだ。

後に米バカテク変態オルタナバンド・PRIMUSに引き抜かれ、果てにシャナナナニーニー鳴く蝉率いるあのGUNS N' ROSESに抱えられた、ブライアン・マンティアがその人。(蛇足ながら、彼の母方は日系人)
それにより、ビートに生々しい躍動感が生まれた。
が、以前のようなシンプルな打ち込みビートが彼ら特有の冷徹さを増幅させていたのに要らんコトしよる、という意見も生まれた。
ただ筆者は、人力だけでなくM-04のようなブレイクビーツを導入したのも加味して、この変化を好意的に受け止めている。常日頃から書いている『カッコ良いビートは正義!』やら『カッコ良い音をくれる方々を型にはめてはいけない』やら、そんな身上で。

ダブに傾倒する一方、ヒップホップユニットをも組閣してしまうような視野の広い人なら、好きに演らせてあげりゃ良いじゃないのさ。
本作は彼が外部で演ってきたコトを、メインユニットでフィードバックさせ始めた、基点とも言えるアルバムと考えている。

Disc-1 (CD)
M-01 Wake
M-02 Sterile Prophet
M-03 Circle Of Shit
M-04 Hunter
M-05 Gift From Heaven
M-06 Amoral
M-07 Angel Domain
M-08 Kingdom Come
M-09 Time Death And Wastefulness
M-10 Frail
M-11 Almost Heaven
Disc-2 (CD)
M-01 Circle Of Shit (To The Point Dub)
M-02 Wake (Break Mix)
M-03 Almost Heaven (Closer Mix)
M-04 Gift From Heaven (Breakbeat)
M-05 Frail (Now Broken)
M-06 Almost Heaven (Helldub)
M-07 Kingdom Come (Version)
M-08 Time Death And Wastefulness (In Dub)
M-09 Sterile Prophet (In Dub)
M-10 Domain
M-11 Gift From Heaven (Heavenly)
Disc-3 (DVD)
M-01 Crush My Soul (PV)
M-02 Mothra (PV)
M-03 Slavestate (PV)
M-04 Christbait Rising (PV)
M-05 Avalanche Master Song (PV)


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