2013年6月12日水曜日

STANTON MOORE 「All Kooked Out!」


かのバカテクジャズファンクバンドGALACTICから、ストーナーロックとハードコアの間を取り持つCORROSION OF CONFORMITYまで、予断を許さない活動履歴を誇るニューオーリンズのグルーヴ神が、〝スケさん〟ことシアトルのサックスプレイヤー:スケリックと八弦ギタリストのチャーリー・ハンターらを誘って創った、1998年の初ソロ。

音世界は語るべくもなく、ジャズっぽい何か。
締めのM-13で、ようやくド真面目にしっとりジャズを演っているものの、例の如くジャムから発展したような曲構成。それでいてひりひり弛まぬ緊張感よりも、アットホームな空気が強い。スケリックも奇声を発してご機嫌だ。
それより何より、左の耳からでしゃばりなスケリックのサックスが、右の耳からたまにオルガンと見紛うような音色(ねいろ)を出すハンターの八弦ギターが、全曲不動の配置で鳴る極端な音像に、まずは驚かされる。
無論、そのど真ん中にはムーアのスウィンギンでシンギンなビートが! 彼のソロだからなんて以上に、彼の特徴的なビート構成が弥が上にも耳を惹く。
スネアのヒット一音一音がくっきりしているどころか、ロールを小節のギリギリまでその粒を揃えて叩き切れる歯切れの良さ。しかもグルーヴィーな曲では、まるで歌うように表情豊かなビートパターンを、当たり前のようにビートの裏を取りつつ、メトロノームばりに正確なタイム感で刻んでくれる。
よくジャズに耽溺している音楽ファンに『ジャズドラマーは何でも出来る化け物揃い。メタルドラマーなんてまだまだ』などと放言をかます(巧いならジャンル問わず巧いで良いじゃねえかバカ!)性質の悪い輩が居るが、しれっとこの次元の演奏をリラックスムードで叩けてしまう奴が存在するのだから、そう自慢したくもなるわな、と。(でもオマエが凄え訳じゃなくて、ドラマー様が凄いんだからな。偉そうにすんなバカ!)

きっとライヴではにこにこしながら叩いてるんだろうなー。俺、スケさんファンだけど、たぶんずーっとこの人のプレイを口を半開きにしたまま眺めて悦に入ってるんだろうなー、なんて想像出来るくらい生々しくて気持ち良いビートだらけ。
カッコ良いビートは正義!

なお後日、この三人にスケさんの相棒でヴィブラフォン大好きパーカッション叩き:マイク・ディロンを加え、GARAGE A TROISが結成される。
そのお披露目盤扱いにするにはもったいないムーディーな逸品。

M-01 Tchfunkta
M-02 Common Ground
M-03 Green Chimneys
M-04 Blues For Ben
M-05 Kooks On Parade
M-06 Nalgas
M-07 Witch Doctor
M-08 Boogaloo Boogie
M-09 Nobodys Blues
M-10 Stanton Hits The Bottle
M-11 Farmstead Antiques
M-12 Angel Nemali
M-13 Honey Island

日本盤は:
M-14 Kirotedo
M-15 Obopa Bebop
:を追加収録。共にボートラ以上の出来なので、こちらの方がお得。



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