2012年1月26日木曜日

BASTRO 「Sing The Troubled Beast / Diablo Guapo」


伝説のジャンクハードコアバンドによる三枚目と二枚目の2in1、2005年発売。それぞれオリジナルは1989年と1988年。時系列を逆に並べているのも珍しい。
レーベルはSONIC YOUTH、SWANS、BIG BLACK、GREEN RIVERなど錚々たるバンドを輩出したNYのHomestead Recordsがオリジナル。再発盤はシカゴのDrag City

さて何が〝伝説〟か。メンバーが凄い。
G兼Voは後にGASTR DEL SOLを経てソロ活動をするデイヴィッド・グラブス。Baはクラーク・ジョンソン。DsはTORTOISEやTHE SEA AND CAKEなどでの活動に加え、レコーディングエンジニアとしても辣腕を振るう〝マッケンさん〟ことジョン・マッケンタイアだ。(元GASTR DEL SOLでもある)
加えて、後にジョンソンに代わって加入したのが元TORTOISE、GASTR DEL SOLなどのバンディ・K・ブラウンときた。

つまりジム・オルークを加えた末期BASTROがGASTR DEL SOLになる訳だ。
音世界は正反対だけどな!

その音世界とは、けれん味たっぷりに突っ走るハードコア。
ジョンソンの背骨を金やすりで掻くようなベースライン。個性的に刻み、シンバルに鞭打つマッケンさんのドラム(今でもたまにこの片鱗を聴かせてくれる彼は素敵だ)。重さよりも荒さに比重を置いたグラブスのギターと、噛み付くように喚き散らすヴォーカル。
マッチョでタフな純然たるアメリカンHCの正当系譜ではないが、後にエモコアへと注がれる重要な流れだ。

本作を創った頃、グラブスは二十代前半、マッケンさんに至っては十代だ。口の悪いリスナーは本作を『若気の至り』と揶揄するかも知れない。
何をほざくか。
先ほど『けれん味たっぷり』と書いた通り、ただただ闇雲に突っ走る作風ではない。M-05のようにけれん味のないHCサウンドには不必要なオルガンが、M-13ではトロンボーンが、M-14ではとうとう工具のドリルが荒れ狂う有様だし。各メンバーの演奏も若者とは思えないくらい老練し、フレーズも青臭さがなく堂々としているし。3rdと2ndにそれほど差異はないし。
既に完成されている、という訳だ。しかも今聴いてもちっとも古びていないから恐れ入る。

若いから未熟だろうなんて先入観、彼らにとっては過小評価も同然。真に優れた者は若い頃から凄いってコト。

Sing The Troubled Beast
M-01 Demons Begone
M-02 Krakow, Illinois
M-03 I Come From A Long Line Of Shipbuilders
M-04 Tobacco In The Sink
M-05 Recidivist
M-06 Floating Home
M-07 Jefferson-In-Drag
M-08 The Shifter
M-09 Noise/Star
M-10 Recidivist
Diablo Guapo
M-11 Tallow Waters
M-12 Filthy Five Filthy Ten
M-13 Guapo
M-14 Flesh Colored House
M-15 Short Haired Robot
M-16 Can Of Whoopass
M-17 Decent Skin
M-18 Engaging In The Reverend
M-19 Wurlitzer
M-20 Hoosier Logic
M-21 Shoot Me A Deer


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