作品毎にメンバーが減っているような気がする、Warp Records所属・音響系レトロポップバンドの二枚目。2003年作品。
アートワークは言わずもがな、ジュリアン・ハウス。
前作でドラムが抜け、キーボードが抜け、残されたのはジェイムズ・カーギル(Ba)、ティム・フェルトン(Gu)に、紅一点のトリッシュ・キーナン(Vo)の三名。
彼らに課せられた音はただ一つ、白身魚のようなキーナンの声質を生かした音創りだ。
食材が淡白となると、味付けを濃くするのがセオリー。でもそれではキーナンの持つ旨味が飛んでしまう。こんなあっさりとした臭みのない味を消すなんてとんでもない。
というコトで、バンドは素材の良さを引き立たせるため、素朴な味付けで勝負した。今風のアレンジをせず、昔ながらの調理法でシンプルに仕上げた。
つまり、モンドやラウンジのようなシックなレトロ感覚を前面に押し出すために、モノラルっぽい音像を施した〝古くて新しい〟音世界だ。
加えてじっくり浸り切れるよう、サイケ感覚もふりかけておく。レトロ感を出すに、これ以上の楽器はないアナログキーボードの音色の裏で、ふんだんにエフェクターの掛けられたフェルトンのギターが夢心地の風味を与えてくれる。
また、連れて来たジャズ畑のゲストドラマーも、輪郭のはっきりしたビートで曲毎に叩くアプローチを変え、これまた美味。
ベースのカーギルは比較的目立たず実直にボトムを支えているが、それは〝さ・し・す・せ・そ〟くらい重要な、料理の基本だ。
それらにしっかりと味付けられた、白身魚の如く淡白なキーナンの歌ははっきり言って一本槍なのだが、曲と剥離することなく、しかも単調にならず、良く香味料と調味料に絡んで存在感を示している。
しかもお約束に堕せず、飽きもこない。こんな音、そうそうないよ。
M-01 Colour Me In
M-02 Pendulum
M-03 Before We Begin
M-04 Valerie
M-05 Man Is Not A Bird
M-06 Minim
M-07 Lunch Hour Pops
M-08 Black Umbrellas
M-09 Ominous Cloud
M-10 Distorsion
M-11 Oh How I Miss You
M-12 The Little Bell
M-13 Winter Now
M-14 Hawk
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